
Googleは、同社の生成AI「Gemini」をAndroid Autoに統合すると発表しました。これにより、車内での音声操作が従来の“命令型アシスタント”から、より自然で賢い会話型アシスタントへと進化します。
この新機能は、Google I/Oに先駆けて開催された「Android Show」にて明らかにされました。スマートフォン経由でAndroid Autoを使用しているユーザーには今後数カ月以内に順次展開される予定で、Google搭載車(Google built-in)には2025年中に提供される見込みです。対象車種には、新型リンカーン・ノーチラスやルノーR5、ホンダ・パスポートなどが含まれます。
Geminiが変える、車内の「声の操作」
GeminiがAndroid Autoに搭載される最大のメリットは、従来よりもはるかに自然で柔軟な音声アシスト体験が得られることです。例えば、外国語で頻繁にやりとりする相手がいれば、Geminiはその相手には自動的にその言語でメッセージを送るように対応してくれます。

ただの音声入力ではなく、文脈を理解しながら文章の言い回しを調整したり、40以上の言語で翻訳対応もしてくれるため、国際的なコミュニケーションにも強力な助っ人となります。
レストラン検索も、ひと味違う
移動中に近くのレストランを探す場面でも、Geminiは一歩進んだ体験を提供します。単に店の一覧を表示するだけでなく、レビューの読み上げや店舗に関する質問への応答、さらにはGmailに埋もれた予定情報と連携して目的地を調整することも可能です。

また、Google Maps、YouTube Music、Spotifyなど主要アプリともシームレスに統合されているため、まさに“進化した音声アシスタント”と呼ぶにふさわしい機能を備えています。
対話型AI「Gemini Live」で、運転中の会話がもっと自然に
さらに注目なのが、Geminiのライブ対話機能「Gemini Live」です。「OK Google、話そう」と呼びかければ、単なる情報検索にとどまらず、アイデア出しやアドバイスの相談、イベント準備などもドライブ中に進めることができます。

運転中に視線を逸らすことなく、まるで助手席にパートナーがいるかのような自然なやり取りが可能になるのです。
自動車×AI、進化の主導権を握るのは誰か?
GoogleのGemini統合は、Appleの次世代CarPlayやAmazonのAlexa車載連携など、AIを活用した車載体験の進化競争の一環とも言えます。とはいえ、会話型AIの実用性という点では、Geminiが一歩リードしている印象です。
すでにAndroid Autoは世界で2億5000万台以上の車に対応しており、そこにGeminiが加わることで、車と人の関係性そのものが変わっていく可能性があります。これまでの「言うことだけ聞くAI」から、状況に応じて「提案し、考えてくれるAI」へ。
運転をもっとスマートに、そして人とテクノロジーが自然につながる未来が、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。