
SonyとMicrosoftが開発を進めている次世代ゲーム機では、どちらもAMDの最新アーキテクチャを採用するとみられていますが、その半導体設計は大きく異なるものになる可能性があります。
海外メディアGameGPUが報じた情報によると、PS6は比較的小型の単一チップ構成を採用する一方、次世代XboxことProject Helixは複数のチップを組み合わせたチップレット構成になるとされています。GPU性能やメモリ容量だけでなく、消費電力や冷却機構、最終的な販売価格にも大きな違いが生まれるという予測です。
ただし、今回の情報は公式発表ではなく、現時点ではリーク・予測情報として扱う必要があります。
PS6は単一チップ、Xboxはチップレット構成に
今回の情報で最も大きな違いとして挙げられているのが、プロセッサの半導体構造です。
PS6は開発コードネームがOrionとされ、TSMCの3nmプロセス(N3EまたはN3P)を採用した、約280mm²の単一ダイ構成になるといわれています。
一方、MicrosoftのProject Helix(開発コードネームMagnus)は、同じくTSMCの3nmプロセスで製造されるものの、複数のチップを組み合わせるチップレット構成になるとのことです。
こちらはI/Oを担当する144mm²のSoCと、264mm²のGPUダイで構成され、合計面積は408mm²に達するとされています。
この設計の違いは、消費電力や冷却システムにも影響すると予測されています。
| 項目 | PS6 | Xbox Project Helix |
|---|---|---|
| 開発コードネーム | Orion | Magnus |
| 半導体構造 | 単一ダイ | チップレット |
| 製造プロセス | TSMC 3nm | TSMC 3nm |
| ダイ面積 | 約280mm² | 合計408mm² |
| 消費電力 | 150~160W | 250~350W |
| 冷却方式 | ヒートパイプ式 | 大型ベイパーチャンバー |
PS6は150~160W程度の消費電力に収まるとされ、従来のゲーム機に近いヒートパイプを利用した冷却機構を採用できる見込みです。
対するProject Helixは250~350Wという高い消費電力が予想されており、ハイエンドPCに近い大型ベイパーチャンバーを必要とする可能性があります。
CPUはPS6が10コア、Xboxは11~12コア
CPUアーキテクチャにも違いがあるとされています。
PS6はAMDのZen 6、Zen 6c、Zen 6 LPを組み合わせた10コア構成になるとのことです。動作クロックは4.0~5.0GHzで、内訳はゲーム処理向けの8コアと、OSなどの処理を担当する省電力コア2基とされています。
一方、Project HelixはZen 6とZen 6cを採用した11~12コア構成になるといわれています。動作クロックは5.0~5.8GHzで、WindowsやPCゲームとの互換性を維持するため、L3キャッシュを増量したフルサイズコアを3基搭載するという情報もあります。
単純なコア数や動作クロックではProject Helixが上回る構成ですが、ゲーム機ではCPUのコア数だけで実際のゲーム性能が決まるわけではありません。メモリ構成やGPUとの連携、ソフトウェア側の最適化も重要になります。
GPU性能はXboxが約40%上回るとの予測
GPUはいずれもAMDのRDNA 5をベースにしたカスタム設計になるとされています。
レイトレーシングやパストレーシングに対応するため、BVH(Bounding Volume Hierarchy)の走査を処理する専用ハードウェアも搭載されるとのことです。
ただし、演算ユニット数には大きな差があると予測されています。
| 項目 | PS6 | Xbox Project Helix |
|---|---|---|
| GPUアーキテクチャ | RDNA 5 | RDNA 5 |
| CU数 | 52~54基 | 68基 |
| 動作クロック | 2.6~3.0GHz | 2.8~3.2GHz |
| FP32性能 | 約40TFLOPS | 約56TFLOPS |
この予測が正しければ、Project HelixのGPU演算性能はPS6を約40%上回る計算になります。
AI処理へのアプローチも異なるとされています。
PS6はGPU内部に専用のテンソル演算ユニットを搭載し、独自のアップスケーリング技術であるPSSRのバージョン2および3を強化する方針とされています。
一方、Project HelixはGPUのTensor Coreに加えて、単独で110TOPSの処理性能を持つNPUを搭載するとのことです。ゲームの描画支援だけでなく、ローカル環境での高度なAI処理も想定した設計とみられます。
メモリ容量と帯域幅でもXboxが優勢か
メモリについても、Project Helixの方が大容量かつ高帯域幅になると予測されています。
PS6は30~32GBのGDDR7メモリを搭載し、構成によっては最大40GBになる可能性があるとのことです。メモリバスは160-bitで、帯域幅は640~800GB/sとされています。
対するProject Helixは36~48GBのGDDR7メモリを採用し、192-bitのメモリバスによって768~960GB/sの帯域幅を実現するといわれています。
最大値同士で比較すると、Project Helixのメモリ帯域幅はPS6を約20%上回ります。
GPUの演算性能だけでなく、メモリ容量や帯域幅でもMicrosoft側が優位に立つ構成です。
PS6は約1,000ドル、Xboxは1,200ドルになる可能性
もっとも気になる販売価格についても、今回の情報ではかなり高額な予測が示されています。
PS6は3nmプロセスによる比較的小型の単一チップ構成を採用することで、製造コストをある程度抑えられるとされ、想定価格は約1,000ドルです。
一方、Project Helixは大型のチップレット構成に加え、基板設計や電源周りにも高い要求が生じるため、約1,200ドルに達する可能性があるとしています。
1ドル=158円で単純換算すると、PS6は約15万8,000円、Project Helixは約18万9,600円です。もちろん、これは税金や国内向けの価格設定などを考慮していない参考値です。
今回の予測どおりなら、Project HelixはPS6よりGPU性能やメモリ性能で優れる一方、消費電力と販売価格も大幅に高くなる可能性があります。
ただし、PS6とProject Helixの具体的な仕様や価格は、いずれもSonyとMicrosoftから正式に発表されたものではありません。特にTFLOPSだけで実際のゲーム性能を判断することはできず、アップスケーリング技術やゲームごとの最適化によって評価が変わる可能性もあります。
次世代機では単純な性能競争だけでなく、どこまで価格と消費電力を抑えながら高いゲーム体験を実現できるかも重要になりそうです。今回の予測が正しければ、PS6は価格と電力効率を重視し、Project Helixは高性能を追求するという、かなり対照的な製品になるかもしれません。
