
AppleがiPhone 18 Proシリーズ向け部品の発注を削減したと報じられています。背景にあるのは、AIデータセンター向け需要の拡大などを受けたメモリー価格の高騰です。Samsung Electronicsもスマートフォン関連部品の調達を縮小するようサプライヤーに指示したとされ、両社を主要顧客とするSamsung Displayの業績にも影響が及ぶ可能性があります。
AppleはiPhone 18 Pro向け部品の発注を15~20%削減か
韓国メディアの報道によると、AppleはiPhone 18 ProおよびiPhone 18 Pro Max向けの一部部品について、10月の発注量を従来の計画から約15~20%削減したとされています。
さらに、Samsung Electronicsもサプライヤーに対し、2026年第4四半期の部品納入量を当初の予測から20~30%減らすよう指示したと報じられています。
これらの調整が事実であれば、スマートフォン向け部品の需要が年末にかけて弱まる可能性があります。特に影響が懸念されるのが、有機EL(OLED)パネルを製造するSamsung Displayです。
高価格帯のスマートフォンに採用されるOLEDパネルは、一般的なディスプレイよりも単価や利益率が高い傾向にあります。そのため、iPhoneの上位モデルを中心に発注が減少すれば、Samsung Displayの収益にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
AppleとSamsungがSamsung Displayの売上高の約63%を占める
Samsung Displayにとって、AppleとSamsung Electronicsは特に重要な顧客です。
2025年の監査済み財務諸表によると、AppleとSamsung Electronicsに相当するとみられる顧客グループは、それぞれ年間売上高の40.4%、22.4%を占めていました。両社を合わせると約141億ドル(約2兆2,300億円)に達し、売上高全体の62.8%を占める計算です。
これほど大きな割合を少数の顧客に依存しているため、両社の生産計画や部品調達方針の変更は、Samsung Displayの業績を左右する重要な要因となります。
Samsung Electronicsは通常、次期Galaxy Sシリーズの発売に向けてスマートフォンの生産量を調整します。ただし、今回報じられた削減幅は通常の季節的な調整よりも大きいとされており、スマートフォン市場全体で需要やコストへの懸念が強まっている可能性があります。
AI向け需要でメモリー価格が高騰、スマートフォン各社を圧迫
今回の発注削減の背景として挙げられているのが、スマートフォン向けメモリーの価格上昇です。
AIデータセンターの需要拡大を受け、半導体メーカーはサーバー向けDRAMや高帯域幅メモリー(HBM)など、収益性の高い製品に生産能力を振り向けています。その結果、スマートフォンで使われる一般的なメモリーの供給が逼迫し、調達コストが上昇しているとされています。
市場調査会社TrendForceの推計として報じられたデータによると、LPDDR5Xメモリーの価格は2026年第2四半期に前四半期比で78~83%上昇したとのことです。
メモリー価格の高騰は、スマートフォンメーカーの利益率を圧迫します。端末価格への転嫁が難しい場合、メーカーは生産量の調整や、ディスプレイなどほかの部品の調達価格引き下げによってコストを抑えようとする可能性があります。
実際、調査会社UBI Researchは、スマートフォンメーカーがメモリーコストの上昇を補うため、OLEDパネルメーカーに値下げを求めていると報告しています。
Samsung Displayにとっては、主力顧客からの発注が減少するだけでなく、パネルの販売価格にも下押し圧力がかかるという厳しい状況です。生産設備の稼働率が低下すれば、収益性がさらに悪化する可能性もあります。
折りたたみiPhone「iPhone Duo」は成長の追い風となるか
一方、Samsung Displayにとって明るい材料となり得るのが、Appleが投入した新型折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」です。
報道によると、Samsung DisplayはApple初の横開き型折りたたみiPhoneに搭載されるOLEDパネルを独占供給する立場にあります。Appleが折りたたみスマートフォン市場に参入することで、同社にとって新たな収益機会が生まれる可能性があります。
市場調査会社Omdiaは、2026年の世界の折りたたみディスプレイ出荷量が前年比44%増の約2,900万枚に達すると予測しています。このうちSamsung Displayのシェアは66%になると見込まれています。
ただし、折りたたみスマートフォンは、スマートフォン市場全体では依然として限られた規模にとどまります。iPhone Duoが好調に推移したとしても、従来型のiPhone上位モデル向けパネルの需要減少を完全に補えるとは限りません。
Appleにとっても、今回の報道はメモリー価格の高騰が高価格帯のスマートフォンにまで影響を及ぼしていることを示すものです。Samsung Displayは折りたたみiPhone向けの独占供給という成長機会を持つ一方、短期的には従来型の高級スマートフォン向け需要に業績を大きく左右される状況が続きそうです。
なお、発注削減に関する数値はいずれも報道に基づくもので、AppleやSamsung Electronicsが正式に発表したものではありません。今後の実際の生産計画や販売動向によって、Samsung Displayへの影響も変わる可能性があります。


