
MediaTekが、ノートPC向けの新プロセッサ「Dimensity CX C10 Max」を正式発表しました。同社が新たに立ち上げたDimensity CXファミリーの第1弾となるチップで、3nmプロセスを採用し、Googleが展開する新カテゴリーの「Googlebook」向けに設計されています。
8コアCPUと11コアGPUに加え、最大55 TOPSのNPUを搭載しており、GeminiをはじめとするAI処理を端末上で実行できることが大きな特徴です。
8コアCPUとImmortalis-G925 GPUを搭載
Dimensity CX C10 Maxは、TSMCの3nmプロセスで製造されるSoCです。CPUは8コアのAll Big Core構成で、Cortex-X925を1基、Cortex-X4を3基、Cortex-A720を4基搭載しています。Cortex-X925の最大クロックは3.73GHzです。
GPUには11コア構成のArm Immortalis-G925を採用し、12MBのL3キャッシュと10MBのシステムレベルキャッシュも搭載します。メモリはLPDDR5Xに対応し、最大9600MT/sまでサポートします。
MediaTekはこの構成を、薄型・軽量でファンレスのノートPCに適した設計と位置付けています。高い処理性能を確保しながら冷却ファンへの依存を抑えることで、携帯性とバッテリー駆動時間の両立を狙ったチップです。
55 TOPSのNPUでGeminiを端末上で処理
今回のチップで特に注目されるのがAI性能です。
第8世代のNPU 890を搭載し、最大55 TOPSの処理性能を実現しています。MediaTekはGooglebook向けのGemini Intelligence機能を端末上で処理することを想定しており、クラウドへデータを送信することなくAI処理を実行できる点をアピールしています。
オンデバイス処理に対応すれば、AI処理の際にクラウドとの通信を待つ必要がなくなるため、応答速度の向上が期待できます。また、処理するデータを端末内に留められることから、プライバシー面でもメリットがあります。
Googlebookでは、AIによるリアルタイムの支援や文字起こし、要約などの機能が想定されており、MediaTekはこうした処理を常時利用できるAI機能として位置付けています。
Wi-Fi 7や32MPカメラにも対応
通信機能ではWi-Fi 7に対応し、最大7.3Gbpsの通信速度をサポートします。Bluetooth 6.0にも対応しており、ワイヤレスイヤホンやマウスなどの周辺機器との接続にも利用できます。
また、Imagiq 1090 ISPを搭載し、最大32MPのカメラセンサーをサポートします。AIを利用したHDR動画撮影や動画ズーム、被写体へのフォーカス維持などにも対応しており、ビデオ会議やライブ配信などでの活用が想定されています。
ディスプレイについては、内蔵ディスプレイで最大4K 60Hz、外部ディスプレイでは最大2台の4K出力をサポートします。ストレージにはUFS 4.0を採用しています。
KompanioからDimensity CXへ
MediaTekにとって今回の製品は、ノートPC市場への本格的な展開を示すものでもあります。
一方で、完全にゼロから開発されたプラットフォームというわけではありません。海外メディアの分析では、CPU構成やGPU、NPUなどに2025年に発表されたKompanio Ultra 910との共通点が多く、Dimensity CX C10 Maxは同プラットフォームを発展させた製品とみられています。C10 Maxではメモリ速度が最大9600MT/sに引き上げられ、NPU性能も50 TOPSから55 TOPSへ向上しています。
今回のDimensity CXというブランドへの移行によって、MediaTekはスマートフォンだけでなく、AI PCを含むコンピューティング市場でもDimensityブランドを前面に押し出すことになります。
LenovoのGooglebookにも搭載へ
Dimensity CX C10 Maxを搭載する最初のGooglebookについて、MediaTekはLenovo製品への搭載を明らかにしています。ただし、現在発表されているLenovoの15インチGooglebookとは別の製品になるとされています。
GooglebookではIntelやQualcommのチップも採用されており、MediaTekも今回参入したことで、Googleが新たに展開するこのカテゴリーで複数のSoCメーカーが競争する構図になっています。
MediaTekはスマートフォン向けSoCで培ってきた省電力技術を、薄型ノートPCへ広げようとしています。Dimensity CX C10 Maxが実際のGooglebookでどの程度の性能とバッテリー駆動時間を実現するのかは、製品が登場した後の実機検証が重要になりそうです。


