
1985年に登場した任天堂のファミリーコンピュータが、現代の航空機追跡システムとしてよみがえりました。開発者のLevi Maaia氏が手がけた「NES Radar」は、実機のファミコンを使って空港周辺を飛行する航空機をリアルタイムで表示するユニークなプロジェクトです。
専用カートリッジとコントローラーで操作
NES Radarを利用するには、まず専用のカスタムカートリッジをファミコン本体にセットします。
そのうえで、ファミコンのコントローラーから空港を識別する4文字のコードを入力してスタートすると、テレビ画面が航空レーダーのような表示に切り替わります。

画面上を動く点は単なるゲームの演出ではありません。選択した空港周辺を実際に飛行している航空機を示しています。

小規模な空港を指定すれば表示される機体も少なくなりますが、ロサンゼルス国際空港(LAX)のような大規模空港を選ぶと、多数の航空機が画面上に表示されるため、ファミコンとは思えない光景になります。
インターネット接続は現代のPCが担当
もちろん、40年以上前に発売されたファミコンにはインターネットへ接続する機能はありません。そこで、このプロジェクトでは別のコンピューターを組み合わせています。
コンピューター側で動作するプログラムが公開されている航空機追跡サービスからリアルタイムの飛行データを取得し、指定された空港を基準に必要な情報だけを抽出します。
そして、そのデータをファミコンのコントローラーポート経由で本体へ送信します。
つまり、ファミコン自身がインターネットからデータを取得しているわけではありません。現代のコンピューターが裏側の処理をすべて担当し、ファミコンは受け取った情報を表示するディスプレイとして機能しています。
ファミコンだからこそ面白いプロジェクト
実用性という意味では、わざわざファミコンを使って航空機を追跡する必要はありません。現在なら、スマートフォンやPCから航空機追跡サイトやアプリを開くだけで、より詳細な情報を簡単に確認できます。
それでもNES Radarが興味深いのは、ゲーム機として生まれた約40年前のハードウェアに、現代ならではの用途を与えている点です。
ファミコンは「スーパーマリオブラザーズ」や「ゼルダの伝説」などを遊ぶためのゲーム機として登場しました。それが2026年になって、実際に空を飛ぶ航空機の位置をリアルタイムで表示する装置として使われるというのは、発売当時には誰も想像しなかった使われ方でしょう。
古いハードウェアと現代のコンピューター技術を組み合わせることで、ファミコンがまったく新しい役割を手に入れた、遊び心あふれるプロジェクトといえそうです。

