
メモリなどの半導体部品価格が上昇し、スマートフォンメーカーが低価格帯モデルの生産を抑える動きが出るなか、Samsungは逆にエントリーからミドルレンジのGalaxy Aシリーズを増産する方針のようです。部品コストの上昇によって利益率が低下するリスクを抱えながらも、販売台数を確保して世界市場でのシェア拡大を狙う戦略とみられています。
4カ月で約3370万台のGalaxy Aシリーズを生産か
韓国のMaeil Business Newspaperが入手したSamsungの内部生産計画によると、同社は2026年8月から11月までの4カ月間に、Galaxy Aシリーズを約3370万台生産する計画です。
この数字は、同期間にSamsungが計画しているスマートフォンやタブレットなど約5800万台の総生産台数の58%に相当します。スマートフォンだけに絞れば、Galaxy Aシリーズが占める割合はさらに高くなるとされています。
特に生産台数が集中するのが、低価格帯を担うGalaxy A17と、今後登場するとみられるGalaxy A18です。両モデルだけで1800万台が計画されており、Galaxy Aシリーズ全体の生産予定台数の約53%を占めます。
Galaxy Mシリーズがインドや東南アジアなど特定地域を重視した製品であるのに対し、Galaxy A17やA18は世界市場のエントリー層を広くカバーするモデルです。大量生産によって販売台数を確保しやすいことから、Samsungにとって重要なラインアップとなっています。
部品価格高騰でも低価格モデルを減らさない理由

通常、メモリなどの部品価格が上昇すると、利益率の低い低価格スマートフォンは生産量を減らしたり、販売価格を引き上げたりする対応が考えられます。
しかしSamsungは、こうした状況でもGalaxy Aシリーズの供給を積極的に維持する方針です。
背景には、スマートフォン市場でのシェアをさらに伸ばしたいという狙いがあります。SamsungのDX部門を率いるRoh Tae-moon氏は、2026年下半期の重要な目標として市場シェアの拡大を掲げており、Galaxy Aシリーズの大量投入もその戦略の一環と考えられます。
エントリーモデルでは1台あたりの利益が大きくない一方、Samsungは巨大な生産規模を持っています。そのため、短期的な利益率をある程度犠牲にしてでも販売台数を増やし、競合メーカーとの差を広げることが可能です。
Galaxy Aシリーズで世界市場のシェア拡大を狙う
SamsungはGalaxy SシリーズやGalaxy Zシリーズで高価格帯の市場を狙う一方、Galaxy Aシリーズでは大量販売によって中低価格帯をカバーするという二段構えの戦略を取っています。
特に現在のようにメモリなどの部品コストが上昇している局面では、資金力や生産規模の大きいSamsungの強みがより発揮される可能性があります。競合メーカーが採算の悪化を避けるために低価格帯の生産を抑えれば、Samsungにとっては市場シェアを伸ばす好機にもなります。
今回の生産計画が示すのは、Samsungが部品価格の上昇に対して単純に生産を縮小するのではなく、むしろGalaxy Aシリーズへの投資を強めることで市場での存在感を高めようとしていることです。今後、Galaxy A17やGalaxy A18が世界各地でどれだけ販売を伸ばすのか、そしてこの積極策がSamsungのシェア拡大につながるのかが注目されます。

