
発売から数年が経過した初期型PS5で、APUとヒートシンクの間に使用されている液体金属の冷却インターフェースが大きく劣化し、深刻な発熱につながっていた事例が報告されました。実際に修理のため分解したところ、ヒートシンク側に液体金属によるものとみられる痕跡が確認されています。
液体金属が固まり、ヒートシンク表面を損傷
今回の事例は、PS5の型番CFI-1116をポーランドの修理技術者が分解したことで明らかになったものです。このPS5は分解前から発熱の問題が発生していたとされ、内部を確認したところ、APU上部の液体金属が乾いたような大きな領域と、ヒートシンク上に硬化した残留物が見つかりました。

修理担当者によると、液体金属に含まれるガリウムがヒートシンクの保護めっきに入り込み、合金のような硬い層を形成した可能性があるとのことです。
残留物を取り除いた後の状態を見ると、APUの表面は滑らかな状態を保っていた一方、ヒートシンクの接触面には保護層が損傷したことを示す恒久的な痕跡が残っていました。

つまり今回のケースでは、PS5のAPUそのものが損傷したというより、APUから熱を逃がすためのヒートシンク側が大きなダメージを受けていたことになります。
PS5では液体金属を冷却材として採用
ソニーは2020年に初代PS5を発売して以来、APUとヒートシンクの間に液体金属を使用しています。液体金属は高い熱伝導性を持つことから、APUが発生させる熱を効率的にヒートシンクへ伝える目的で採用されています。

一方で、液体金属は一般的なサーマルグリスとは性質が大きく異なります。電気を通すため、基板上に漏れ出すと別のトラブルを引き起こす可能性があり、修理時にも古い液体金属や残留物を完全に除去してから新しいものを塗布する必要があります。
今回のように液体金属が移動したり、接触面の状態が変化したりすると、冷却性能が低下して温度上昇につながる可能性があります。
PS5 Proでは液体金属を安定させる構造に変更
ソニーも液体金属の扱いについて対策を進めており、PS5 Proでは液体金属を塗布する部分に細かな溝を設けています。ソニーによれば、この変更によって初期のPS5と比べて冷却をより安定させられるとしています。
ただし、今回の事例だけをもって、旧型PS5全般に製造上の欠陥があると判断することはできません。あくまで長期間使用した個体で、液体金属の状態やヒートシンク表面の保護層が劣化した場合に、今回のような問題が発生する可能性を示すものです。
また、液体金属の移動や漏れによる発熱問題は修理現場でも知られているトラブルの一つとされており、適切な処置によって修理できるケースもあります。
今回のPS5は、APU自体が無事だったにもかかわらず、冷却を担うヒートシンク側に深刻なダメージが残っていました。PS5を長期間使用していて以前よりファンの音が大きくなった、ゲーム中に本体が異常に熱くなるといった症状がある場合には、冷却機構の状態にも注意したほうがよさそうです。


