
Microsoftは、メモリ容量8GBのPCでもWindows 11をより快適に利用できるよう、システムのパフォーマンス改善に向けた最適化を進めています。背景には、何もアプリを起動していない状態でもWindows 11が大量のメモリを消費するという以前からの指摘があり、Microsoftは2026年末までに段階的な改善を広げていく方針です。
8GB環境で目立つアイドル時のメモリ消費
今回の取り組みは、Microsoftが3月に発表したWindowsの品質改善策の一環として進められているものです。Windows and Devices部門のプレジデントを務めるPavan Davuluri氏が、8GB RAM搭載PCを対象としたパフォーマンス改善について説明しています。
Windows 11では、アプリを何も起動していない状態でもメモリ使用量が大きいという問題が以前から指摘されています。報告によれば、8GBのメモリを搭載したPCであっても、ユーザーがアプリを起動する前から約6GBを消費するケースがあるとされています。
8GBのPCでは、OSだけでメモリの大部分を使用してしまえば、ブラウザーやOfficeなどのアプリを起動した際に利用できるメモリが少なくなります。複数のアプリを同時に利用する場合には、さらにパフォーマンスへの影響が出やすくなります。
WebView2などバックグラウンド処理を見直し
こうしたメモリ消費の一因として挙げられているのが、Microsoft Edgeと同じChromiumベースの技術を利用したWebView2です。
WebView2はWindows 11に搭載されている複数のアプリや機能で利用されており、ウェブ技術を使ったUIや機能を動作させるためにバックグラウンドで複数の処理が実行されます。これがメモリ使用量の増加につながる要因の一つとされています。
Microsoftはすでに、一部のWindows 11コンポーネントについて軽量なWinUIへの移行を進めています。その一例として挙げられているのが、エクスプローラーのプロパティダイアログです。
また、開発者に対しても、ウェブ技術で既存アプリを包むだけではなく、よりネイティブなWindowsアプリを開発するよう促しています。OS側だけでなく、アプリ側も含めてメモリ消費を抑えることで、8GB環境での使い勝手を改善する狙いとみられます。
8GBと大容量メモリの違いはどうなる?
今回の最適化は8GB搭載PCを特に意識したものですが、メモリ容量によって期待できる効果には違いがあります。
| メモリ容量 | 想定される用途・状況 | 今回の最適化によるメリット |
|---|---|---|
| 8GB | 文書作成、ウェブ閲覧、軽い作業など | メモリ消費削減による余裕の拡大が期待される |
| 16GB | 一般的な仕事、学習、複数アプリの同時利用 | バックグラウンド処理削減などの恩恵が期待される |
| 32GB以上 | 高度なマルチタスク、クリエイティブ用途など | 8GB環境ほど大きな影響はないとみられる |
Microsoftによると、メモリ容量の大きなPCでは引き続き高いパフォーマンスが期待できます。そのため、今回の改善によって8GBと16GB以上の性能差がなくなるわけではありません。
それでも、8GB構成のWindows 11 PCを使い続けているユーザーにとっては、OSそのもののメモリ使用量が減るだけでも、アプリに割り当てられるリソースが増えるというメリットがあります。
改善は2026年末までに段階的に展開
今回の最適化は一度の大型アップデートですべてが完了するわけではなく、段階的に展開される予定です。Microsoftは2026年末までに、より広範な改善を提供することを見込んでいます。
近年はメモリ価格の上昇が続いており、PCのメモリを増設したくてもコスト面から見送るユーザーも少なくありません。そうした状況では、ハードウェアを買い替えたりRAMを増設したりするのではなく、Windows 11そのものを軽量化する取り組みには一定の意味があります。
特に8GB構成のPCは、仕事や学習、ウェブ閲覧など一般的な用途では現在も広く利用されています。Microsoftが進める今回の最適化によって、こうしたPCでもWindows 11をより快適に使えるようになるのか、今後のアップデートに注目したいところです。

