
ソニーが2028年以降、PlayStation向けゲームのパッケージ版ディスク生産を終了する方針を示したことを受け、英国のエンターテインメント関連小売団体が強く反発しています。同団体は、デジタル販売の普及を認めながらも、物理メディアを求めるユーザーの選択肢を残すべきだと主張しています。
ソニーは2026年7月、2028年1月以降に発売されるPlayStation 5向けタイトルについて、物理ディスク版の生産を行わない方針を発表しました。2027年以前に発売されたタイトルについては再生産が可能とされていますが、今後の新作は基本的にデジタル販売へ移行する形になります。
英国エンターテインメント小売協会がソニーを批判
この決定に対して声明を発表したのが、英国の「Entertainment Retailers Association(ERA)」です。同団体はゲームや音楽、映像作品などの小売・デジタルサービス事業者を代表する組織で、英国市場におけるエンターテインメント商品の販売を支援しています。
ERAのCEOであるKim Bayley氏は、ソニーの方針について「企業側の都合を消費者の選択より優先したもの」と批判しました。
同氏は、現在でも多くのユーザーが物理版ゲームを選んでいる理由として、所有感や中古売買、家族間での共有、コレクション性、将来的なプレイ環境の維持などを挙げています。
特にディスク版は、一度購入すれば手元に残り、数年後でも再び遊べる点が大きな利点です。一方で、デジタル版は基本的にサービス提供元のライセンスに依存するため、購入した作品を完全に所有しているとは言いにくいという問題があります。
英国では若年層でもディスク需要が存在
ERAによると、英国では依然として物理版ゲーム市場が一定規模を維持しており、昨年のディスク型ゲーム市場は3億ポンド以上の価値があったとされています。
また、25歳未満のユーザーの約4分の1が現在もディスク版を利用しているという調査結果も示されました。
ERAの加盟企業には、ゲーム販売店のGameや音楽・映像販売大手のHMV、スーパーマーケットのAsdaやMorrisonsなどが含まれており、小売現場では現在もパッケージ版への需要を感じているとしています。
Bayley氏は「デジタル販売はゲーム業界を大きく変化させ、非常に人気のある販売方法になった」と認める一方で、「物理メディアを置き換えるのではなく、共存させるべきだ」と強調しました。
ソニーはディスク製造拠点の転換を開始
一方で、ソニー側はすでにディスク生産縮小に向けた動きを進めています。
同社最大級のディスク製造拠点であるオーストリアの工場では、今後、光学マイクロレンズの製造へ事業転換する計画が進められています。ソニーは約3000万ユーロを新設備に投資しており、従業員向けの訓練も開始しているとされています。
また、欧州連合(EU)の担当委員は、ゲーム企業が法律を順守している限り、ゲーム販売形式を自由に選択できるとの見解を示しており、ソニーのデジタル専売化を阻止することは難しい状況です。
ソニーの方針変更に対しては、撤回を求めるオンライン署名も集まっており、すでに30万人以上が賛同しています。
PlayStationを含むゲーム業界では、デジタル販売への移行が加速しています。一方で、物理版ゲームを所有したいユーザーや、小売市場にとっては大きな転換点となっています。今後、ソニーがどのようにユーザーの懸念に対応していくのか注目されます。


