GoogleがMediaTekと次世代AIチップ開発へ Agentic AI時代に向けた新TPUを準備中

生成AIの進化が加速するなか、Googleが新たなAI専用チップの開発を進めていることが明らかになりました。報道によると、同社はMediaTekと協力し、次世代TPUアーキテクチャ「TPUv9」を開発中で、その中心となる新型チップは「Triggerfish」というコードネームで呼ばれているようです。

今回の取り組みは、従来の生成AI向けハードウェアとは異なり、今後本格化するとみられる「Agentic AI」を見据えたものとされています。

■学習と推論を1つに統合する新設計

これまでAI向けチップは、AIモデルの学習を担当するものと、実際の利用時に推論処理を行うものが分かれているケースが一般的でした。

しかしAgentic AIでは、推論だけでなく継続的な学習や状況判断をリアルタイムで行う必要があり、従来のような役割分担では効率が悪くなる可能性があります。

そこでGoogleが開発しているTriggerfishは、学習と推論の両方を単一のチップパッケージ内で処理できる構成を採用するとされています。用途ごとに異なるチップへ処理を移す必要がなくなり、AIエージェントの応答速度や効率向上につながることが期待されています。

■MediaTekが専用CPUタイルを担当

今回のプロジェクトで重要な役割を担うのがMediaTekです。

同社はメインの演算チップとは別に、専用のCPUタイルを同じパッケージ内へ組み込む設計を担当するとされています。このCPUタイルは、学習処理と推論処理を状況に応じて切り替える制御役として機能し、チップ内部のリソース配分を最適化する役割を果たすようです。

また、キャッシュメモリとなるSRAM容量も大幅に増強され、従来世代の2〜3倍規模になるとの見方があります。

さらに、高速なデータ転送を実現する次世代メモリ「HBM4E」の採用も検討されているとされ、AI処理性能の大幅な向上が期待されています。

■Intel技術を活用する別モデルも開発中

GoogleはTriggerfishとは別に、「Humufish」というコードネームの派生チップも開発していると報じられています。

こちらはGoogleが演算コアを設計し、MediaTekが入出力部分を担当する構成になる見込みです。特に注目されているのが製造方式で、半導体製造では依然としてTSMCが中心となる一方、パッケージング工程にはIntelのEMIB技術を活用する計画とされています。

EMIBは複数のチップを高効率に接続できる先進パッケージ技術として知られており、コスト面や拡張性の面でもメリットがあるとされています。

■TSMC依存を減らす狙いも

近年はAIブームの影響で、TSMCの生産ラインに世界中の大手企業から注文が集中しています。AppleやNVIDIA、AMDなどが大量発注を続ける中、製造能力の確保は業界全体の課題となっています。

こうした状況を受け、GoogleはIntelの製造・パッケージング技術も活用することで、サプライチェーンのリスク分散を図ろうとしているようです。

Triggerfishの量産開始は2027年後半、製品展開の本格化は2028年以降になるとみられています。Agentic AIの普及を見据えた次世代ハードウェア競争が激しさを増す中、GoogleとMediaTekの協業は今後のAIチップ市場に大きな影響を与える可能性があります。

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