
Nothingの創業者であるカール・ペイ氏が、再びAppleを強く意識した発言で注目を集めています。同氏は自身のSNSに投稿した動画の中で、「Appleの顧客を奪う。退屈したiPhoneユーザーを一人ずつ取り込んでいく」と宣言。スマートフォン市場の王者に対して真正面から挑戦状を突き付けました。
Nothingは創業以来、一貫してAppleとは異なる価値観を打ち出してきた企業です。今回の発言も、そのブランド戦略を象徴するものと言えそうです。
カール・ペイ氏がAppleを名指しで挑発
話題となっている動画では、カール・ペイ氏がカメラに向かって直接語りかける形式を採用しています。
「私はロンドンでスマートフォンを作っているカールだ。Appleの顧客を奪う。退屈したiPhoneユーザーを一人ずつ取り込んでいく」

というメッセージを発信し、スマートフォン市場におけるAppleへの対抗姿勢を改めて鮮明にしました。
同氏が訴えたいのは、近年のスマートフォンが似通った製品ばかりになり、新鮮さや驚きが失われているという点です。Nothingは透明デザインや独自のGlyphインターフェースなど、他社にはない個性を前面に打ち出してきました。
今回の動画も、そうした「退屈なスマートフォン業界への反発」というNothingの思想を強く表現したものとみられます。
創業当初から続く「反Apple」戦略
NothingがAppleをライバル視するのは今に始まったことではありません。
カール・ペイ氏はこれまで複数のインタビューで、Appleがかつて持っていた革新性を失いつつあると指摘してきました。また、Nothingを「何か新しいものを求めるユーザーのためのブランド」と位置付けています。
特に若年層へのアプローチを重視している点も特徴です。同氏は以前から、Z世代の支持を獲得することがAppleやSamsungに対抗するための重要な鍵になると語っています。
実際、Nothingの製品デザインやマーケティングは、従来のスマートフォンメーカーとは異なる独特な世界観を重視しており、若いユーザーから一定の支持を集めています。
実は着実に成長を続けるNothing
派手な発言ばかりが話題になるNothingですが、事業面でも一定の成果を上げています。
市場調査会社Counterpoint Researchによると、同社のインド市場における2025年第2四半期の出荷台数は前年同期比146%増を記録。また、2025年第4四半期も32%成長を達成したとされています。
さらに、サブブランドであるCMFも急速に存在感を高めており、インド市場では最も成長率の高いスマートフォンブランドの一つとして評価されています。
もちろん、AppleやSamsung、Xiaomi、OPPO、vivoなどの巨大メーカーと比べれば、Nothingはまだ小規模なメーカーです。しかし、近年は着実に市場シェアを拡大しており、単なる話題先行のブランドではなくなりつつあります。
米国市場攻略へ向けた本格展開も
Nothingは最近、米国での販売網拡大計画も発表しました。
家電量販店大手Best Buyでの取り扱いを大幅に強化する方針で、これまで以上に多くの消費者がNothing製品を手に取れる環境が整いつつあります。
米国市場はAppleの牙城とも言える市場ですが、その中で販路を拡大することは、同社にとって大きな意味を持ちます。
SNSでAppleを挑発する動画よりも、こうした販売チャネルの拡充のほうが、実際にはiPhoneユーザーを獲得するための重要な一歩と言えるかもしれません。
現時点でNothingがAppleを脅かす存在になったとは言えません。しかし、独自性を武器に着実な成長を続けていることも事実です。カール・ペイ氏が語る「退屈したiPhoneユーザー」をどこまで取り込めるのか、今後の展開に注目が集まりそうです。

