
スマートフォン向けバッテリーの次世代技術として注目されている「シリコンカーボン電池」ですが、Samsungが試験していた超大容量モデルが耐久テストで基準を満たせず、開発が見送られていたことが明らかになりました。リークされた資料によって、同社の実験の詳細が徐々に見えてきています。
Samsungが試験していた2万mAhの超大容量電池
Samsungは2025年頃、スマートフォン向けとしては非常に大容量となる20,000mAhのシリコンカーボン電池を試験していたとされています。
このバッテリーはデュアルセル構造で、1つは12,000mAh、もう1つは8,000mAhという構成でした。厚みはそれぞれ約6.3mmと4mmで、比較的薄型のまま大容量を実現する設計だったとみられています。

しかし当時の情報では、Samsungはこの巨大バッテリーのテストを早い段階で終了し、より容量の小さいモデルの開発へと方向転換したと報じられていました。
シリコンカーボン電池とは何か
シリコンカーボン電池は、一般的なリチウムイオン電池とは負極の材料が異なります。
通常のバッテリーでは黒鉛が使われますが、シリコンカーボン電池ではナノ構造のシリコンとカーボンの複合素材を使用します。これにより、理論上は従来よりはるかに多くのリチウムイオンを保持できるようになります。
シリコン系の負極は、黒鉛と比べて最大で約10倍のリチウムイオンを保持できるとされており、大幅な容量向上が期待されています。さらに、バッテリーのサイズを抑えたまま容量を増やせるというメリットもあります。
耐久テストで960回で失敗
今回のリーク情報によると、Samsungが試験していた20,000mAhのシリコンカーボン電池は、充電サイクル960回の段階でテストに失敗したとされています。
一般的なスマートフォンのリチウムイオン電池は、現在およそ500回から1000回程度の充電サイクルを基準としています。そのため960回という数字は決して極端に低いわけではありません。
しかしSamsungは、この超大容量電池に対してより厳しい耐久基準を設定していたとみられ、その要求を満たせなかったことから開発が見送られた可能性があります。
1万2000mAhや1万8000mAh電池は試験継続
一方で、Samsungがシリコンカーボン電池の開発を完全に止めたわけではありません。
現在も複数の容量モデルの試験が続けられているとされます。例えば、6,800mAhと5,200mAhのセルを組み合わせた12,000mAhのバッテリーや、約6,699mAh、6,000mAh、5,257mAhの3セル構成となる18,000mAhのモデルなどがテスト中と報じられています。
Samsungは2016年のGalaxy Note 7のバッテリー問題以降、スマートフォンの電池開発ではかなり慎重な姿勢を続けてきました。一方で近年は、中国メーカーがシリコンカーボン電池を採用した大容量スマートフォンを次々と投入しており、競争環境は変化しています。
今回の試験結果は課題も示しましたが、Samsungが次世代バッテリーの研究を続けていることは確かなようです。今後、耐久性と容量の両立がどこまで実現できるのかが、スマートフォンのバッテリー進化の大きなポイントになりそうです。
