
XiaomiがAndroidベースへと本格移行した最新OS「HyperOS 3」を巡り、多くのユーザーから「なぜ全デバイスに同じ日にアップデートできないのか」という疑問の声が上がっています。Androidではモジュール化が進み、以前よりも更新しやすい構造になっているものの、実際の配信現場では想像以上に多くの工程と制約が存在します。今回、この件についてXiaomiTimeが説明していました。
Androidのモジュール化でも解決できない現実
AndroidはProject TrebleやGSI、GKIといった仕組みにより、OS本体とベンダー依存部分を分離しています。しかし、完全に切り離されているわけではありません。Xiaomiは、新しいAndroidの仕様が既存のHAL、特にカメラやモデム関連と正しく連携するかを確認する必要があります。わずかなバージョンの不整合でもOTAアップデートが失敗する可能性があるため、機種ごとの個別検証は避けられません。その結果、全機種同時配信は現実的ではないのです。
GSIやGKIが即日アップデートに使えない理由
GSIやGKIは、あくまで互換性確認やテストを目的とした仕組みです。実際の製品では、カメラ処理、発熱制御、通信設定、AIを活用した画像処理など、多くの独自モジュールが組み合わさっています。これらは純粋なGSI環境には含まれておらず、HyperOS 3向けに再統合し、動作確認を行う必要があります。この工程が、同時配信を難しくする大きな要因です。
HyperOSは単なるAndroidの外装ではない
HyperOSは、一般的なカスタムUIとは異なり、Xiaomi独自のVelaマイクロカーネル技術や、HyperOSエコシステム基盤、HyperCoreスケジューリングといった層を内部に持っています。GoogleがAndroidのAPIやカーネル構造を変更するたびに、これらの独自レイヤーも調整と再テストが必要になります。スマートフォンだけでなく、タブレット、ウェアラブル、IoT機器まで含めると、その作業量は非常に膨大です。
クロスデバイス連携が検証工程をさらに複雑化
HyperOSの特徴の一つが、スマートフォン、タブレット、テレビ、スマートホーム機器をリアルタイムで連携させる点です。BluetoothやWi-Fiの挙動がAndroid側で変更されると、Xiaomiはデバイス間通信全体を再検証しなければなりません。対応機器が増えるほどテストパターンは指数的に増加し、配信スケジュールにも影響します。Xiaomiが速度より安定性を優先する理由がここにあります。
チップベンダーや地域認証も時間を要する
QualcommやMediaTekといったチップメーカーは、それぞれのSoC向けにBSPを更新する必要があります。Xiaomiはその後にHyperOSの調整を開始し、最終的にはGoogle Mobile Servicesの認証を通過しなければなりません。さらに、地域や通信事業者ごとの要件も異なるため、世界同時配信という形を取るのはほぼ不可能です。
フラッグシップモデルが先行配信される理由
上位モデルが先にアップデートされるのは、販売戦略というより技術的な理由によるものです。フラッグシップ機はハードウェア構成が比較的統一されており、検証にかかる時間を短縮できます。一方で、ミドルレンジやエントリーモデルは、メモリ管理や発熱、描画処理などの最適化により多くの調整が必要になります。
HyperOS 3の配信が段階的に行われる背景には、Androidの仕組みだけでは解決できない現実的な課題があります。Xiaomiは多様なデバイスとエコシステム全体の安定性を確保するため、慎重な検証を重ねています。同時配信が難しいのは欠点ではなく、品質を維持するための必然的な選択と言えるでしょう。

