NY市の学校でスマホ禁止を実施した結果 生徒の意外な弱点が浮き彫りに

ニューヨーク市の公立学校で導入されたスマートフォン持ち込み禁止措置が、思わぬ形で生徒たちの実態を明らかにしています。授業中の集中力向上を目的としたこの取り組みですが、現場の教師からは別の課題が見えてきたようです。

約100万人の生徒が対象、校内でスマホ使用不可に

ニューヨーク市では2025年9月の新学期から、ほぼ100万人にのぼる生徒を対象に、学校でのスマートフォン使用が原則禁止されました。生徒はスマートフォンを自宅に置いてくるか、登校時に磁気ロック付きの専用バッグに預け、下校まで取り出せない仕組みになっています。

この措置は、授業中の注意散漫を防ぐ狙いから導入されたもので、キャシー・ホークル州知事も法案に署名し、生徒に対して「学校に集中できるようになり、今より賢くなる」と語っています。

保護者は概ね賛成も、緊急時を不安視する声も

保護者の多くはスマートフォン禁止に賛成しているものの、全員が手放しで支持しているわけではありません。中には、緊急時に子どもと直接連絡が取れなくなることを不安視する声もあります。災害や事故など、いざという場面でスマートフォンが役立つ可能性を指摘する意見も少なくありません。

スマホがなくなると時計が読めない?

こうした中、現場の教師たちが気づいたのは、別の「問題」でした。マンハッタンの高校で英語を教える教師によると、授業中に生徒から「今、何時ですか?」と頻繁に聞かれるようになったといいます。

理由は単純で、生徒たちはスマートフォンのデジタル時計に慣れすぎており、教室の壁に掛けられたアナログ時計を読めないケースが目立ったのです。この教師は、「授業があと何分で終わるのか知りたくて、みんな時間を気にしている。でも、とうとう『長い針はどれ?短い針はどれ?』と説明するところまで来てしまいました」と、戸惑いを語っています。

デジタル依存が浮き彫りになった形に

スマートフォン禁止の目的は学習環境の改善でしたが、その副作用として、生徒たちのデジタル依存や基礎的な生活スキルの変化が浮かび上がった形です。時間の読み方という基本的な能力が、デジタル機器に頼る生活の中で薄れている現実に、教育現場も対応を迫られています。

スマートフォンを完全に排除することの是非は今後も議論が続きそうですが、今回の事例は、テクノロジーと教育の関係を改めて考えさせる出来事と言えそうです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
Android
スポンサーリンク
Sumahodigestをフォローする
スポンサーリンク