Googleが、Androidのクイック設定パネルにおける長年の仕様変更を、ついに見直す可能性が浮上しました。Android 12以降で統合されていたWi-Fiとモバイルデータの切り替えが、将来のAndroid 16で再び個別のトグルとして復活するかもしれません。
Android 12で導入されたインターネットタイルの経緯
Android 11までのクイック設定には、Wi-Fiとモバイルデータをそれぞれワンタップで切り替えられるタイルが用意されていました。通信状況を頻繁に切り替えるユーザーにとって、直感的で扱いやすい仕組みでした。

しかしAndroid 12でGoogleは、この2つを統合したインターネットタイルを導入しました。タイルをタップすると専用のパネルが開き、Wi-Fiやモバイル通信の切り替え、周辺ネットワークの一覧表示、テザリング共有などをまとめて操作できる設計に変更されています。
便利さと引き換えに増えた操作ステップ
インターネットタイルは機能面では進化したものの、Wi-Fiやモバイル通信を切り替えるたびにパネルを開く必要があり、操作が一手間増えた点が不満として挙げられてきました。特に従来の操作に慣れたユーザーからは、不要に煩雑になったという声が多く見られました。
Googleは当時、この変更の理由として、Wi-Fiをオフにしてモバイル通信へ切り替えたまま戻し忘れ、意図せず通信量を消費してしまうケースが多かったことを説明しています。インターネットタイルでは、Wi-Fiをオフにせず通信回線だけを切り替えられるため、こうしたミスを減らせるとされていました。
個別トグル復活を求める声と回避策
とはいえ、細かい操作性を重視するユーザーの不満は根強く、個別トグルを復活させる方法が模索されてきました。一時的に回避できる手段も存在しましたが、Android 13以降では利用できなくなっています。
現在もサードパーティ製アプリを使えばWi-Fiやモバイルデータ用のタイルを追加できますが、ADBなどの高度な権限が必要となり、一般ユーザーには敷居が高いのが実情です。
Android 16で見えてきた仕様変更の兆し
こうした状況の中、Android 16 QPR2のソースコード公開をきっかけに、新たな動きが明らかになりました。LineageOSの主要開発者の一人が、Androidの公式ソースコード内にインターネットタイルを分割する準備とみられる記述を発見しています。
コード上では、モバイルデータ専用のタイルを追加する変更と、Wi-Fi用のトグルを備えた新しいタイルを追加する変更が確認されています。モバイルデータはその名の通り専用タイルとして実装され、Wi-Fi側は当面インターネットという名称を維持しつつ、将来的にはWi-Fi専用タイルへ移行する構想も示唆されています。
実装時期は未定も期待は高まる
現時点では、この仕様は機能フラグで管理されており、最新のAndroid 16ベータ版やCanary版では有効化されていません。そのため、正式リリース時期やPixel端末への導入可否は明らかになっていません。
ただし、多くのメーカーがそもそもインターネットタイルを採用していない現状を考えると、Googleが自社端末を含めて見直しに動く可能性は十分にありそうです。
長らく賛否を呼んできたクイック設定の仕様が再び変わるのか、今後のAndroidアップデートから目が離せません。
