
今年の10月に発売され、その驚異的なバッテリー持ちで改めて評価されている「Xperia 10 VII」。 発売から約2ヶ月が経過し、Geekbenchにも多くの実機スコアが集まってきました。
今回は、Xperia 10 VII(Snapdragon 6 Gen 3)と、前モデルXperia 10 VI(Snapdragon 6 Gen 1)のベンチマークデータを比較。 結論から言うと、「CPU性能の差はわずかだが、GPU性能は倍増している」という、スペック表だけでは見えにくい大きな進化が確認できました。
買い替えを検討している方に向けて、その詳細を解説します。
CPUスコア:安定志向の「微増」にとどまる
まずはスマートフォンの基礎体力を測るCPUベンチマーク(Geekbench 6)の結果です。

- Xperia 10 VII (Snapdragon 6 Gen 3)
- Single-Core: 約 1,020
- Multi-Core: 約 2,900 ~ 2,950
- Xperia 10 VI (Snapdragon 6 Gen 1)
- Single-Core: 約 930
- Multi-Core: 約 2,750 ~ 2,800
ご覧の通り、CPUスコアに関しては劇的な変化はありません。 シングル・マルチ共にスコアは向上していますが、その差は約5〜10%程度。「Snapdragon 6 Gen 3」は、処理速度の向上よりも電力効率の最適化に重きを置いたアップデートであることが伺えます。
Web閲覧やSNS、動画視聴といった日常使いにおいては、先代の10 VIでも十分に快適だったため、この「微増」を体感できるシーンは少ないかもしれません。
しかし、Xperia 10 VIIの真価は、ここではなく「グラフィック性能」にありました。
GPUスコア:実は「約2倍」の性能差!3Dゲーム性能が覚醒
今回の比較で最も衝撃的だったのが、ゲームの滑らかさや描画性能に関わるGPUベンチマーク(Geekbench 6 Compute)の結果です。

Vulkan スコア(3D描画性能)
- Xperia 10 VII: 約 3,330
- Xperia 10 VI: 約 1,680 ~ 1,730
OpenCL スコア(演算性能)
- Xperia 10 VII: 約 2,090
- Xperia 10 VI: 約 1,320
CPUとは打って変わって、GPU性能(特にVulkan)は前モデル比で「約2倍」という圧倒的なスコアを記録しています。OpenCLでも約1.6倍の差をつけています。
「Snapdragon 6 Gen 3」の恩恵はここにある
これまでのXperia 10シリーズは「バッテリーは持つが、重いゲームには不向き」というのが定説でした。しかし、Xperia 10 VIIはこの壁を打ち破っています。
このスコア差は実使用でも大きく影響します。例えば、これまで設定を落とさないとカクつきが気になった3Dゲームタイトルが、10 VIIでは標準〜高設定でもスムーズに動くケースが増えています。「CPUが変わっただけ」と思われがちですが、中身(グラフィック周り)は別物と言っていいほどの進化を遂げているのです。
まとめ:ゲームも遊べる「万能ミッドレンジ」へ
Xperia 10 VIIと10 VIの比較から見える結論は以下の通りです。
- 普段使い(CPU): 大きな差はない。どちらもサクサク動く。
- ゲーム性能(GPU): 10 VIIの圧勝。 描画性能が2倍になり、遊べるゲームの幅が広がった。
すでにXperia 10 VIをお持ちの方で、ゲームをあまりしないのであれば、急いで買い替える必要はないかもしれません。 しかし、「バッテリー持ちは譲れないけれど、ゲームもそこそこ快適に遊びたい」という方にとって、GPU性能が大幅に強化されたXperia 10 VIIは、理想的な選択肢と言えるでしょう。

