
ロンドンでスマートフォンの盗難が増えているにもかかわらず、Android、とくにサムスン端末が盗難後に持ち主へ“返却される”という意外な事例が話題になっています。
スマホ盗難急増の中で起きている異変
ロンドンでは2024年だけで11万件以上のスマホ盗難が報告され、街中でのひったくり被害が深刻化しています。しかし被害者の証言によれば、「iPhoneだけが狙われ、サムスンはスルーされる」状況が起きているとのことです。
ロンドンの情報サイト London Centric が取材した32歳の被害者サム氏は、複数人の強盗にスマホやカメラ、帽子まで奪われましたが、逃走中の犯人の一人が振り返り、手にしていたサムスンのスマホを返してきたと証言しています。
「サムスンは価値がない」わけではないのに…
サムソンの最新フラッグシップは決して安価ではありません。例えばGalaxy S25 UltraはiPhone 17 Pro Maxより高い価格帯となり、折りたたみのGalaxy Z Fold 7は約2,000ドル、次期トライフォールドは3,000ドル近くになると言われています。それでも、盗む側は“魅力を感じていない”ようです。
別の被害者マーク氏は、ひったくり犯が奪った自分のスマホ(サムスン)を地面に投げ捨てて走り去ったと話し、「なんだか自分まで否定された気分」と語っています。
盗られない理由は“安いから”ではなく“売れないから”
専門家は、この現象を「再販価値」によるものだと指摘します。サイバーセキュリティ企業ESETのアドバイザー Jake Moore 氏は、「中古市場での人気や価格はiPhoneの方が圧倒的に高く、盗む価値があるのはそちら」と分析しています。
つまり、盗難犯たちは「サムスンが安い」と思っているのではなく、「転売しても儲からない」と判断しているわけです。
セキュリティでは差がないどころかAndroid独自機能も
なお、盗難対策の面でiPhoneが“突破しやすい”わけではありません。現在はどちらのOSも堅牢で、Googleやサムスンは盗難対策機能を積極的に導入しています。中でもAndroidには、スマホが“ひったくられた”動きを検知すると自動ロックする「Theft Detection Lock」といった独自機能も存在します。
iPhone vs Android論争、まさかの結末?
販売競争やスペック論争が続くiPhoneとAndroidですが、盗難の世界ではすでに勝敗がついたのかもしれません――「泥棒に返されるスマホ、サムスン」。
皮肉ではありますが、サムスンユーザーにとっては少し安心できるニュースとも言えるでしょう。スマホを守る最強のセキュリティは、意外にも「盗む価値がないと思わせること」なのかもしれません。


