
Googleは、Android端末のバッテリー持ちを大きく損なうアプリに対し、Google Play上で警告表示を行う新たな仕組みを導入します。バックグラウンドでの動作が過剰と判断されたアプリは、ユーザーに“バッテリーを消耗するアプリ”として提示され、ストア内での露出が下がる可能性もあるとのことです。
新指標「過剰な部分的ウェイクロック」を導入
今回の変更で中心となるのが、Android Vitalsに追加される新しい指標「excessive partial wake locks(過剰な部分的ウェイクロック)」です。アプリが画面OFFの状態でも端末をスリープさせず動作し続ける時間を測定し、その量が一定基準を超えると“問題あり”と判定されます。

このアルゴリズムは2025年4月からベータとしてテストされており、GoogleはSamsungと共同で開発を進めてきたと説明しています。正式な適用は2026年3月1日からで、開発者はそれまでに最適化を行う必要があります。
Googleはこの取り組みについて「アプリのリソース利用をより深く可視化し、Android全体のユーザー体験を向上させるための新指標の第一弾」と述べています。
どの程度で“過剰”と判断されるのか
Googleが監視するポイントは以下の通りです。
- 部分的ウェイクロックの総時間(画面OFF中のバックグラウンド動作)
- 端末がスリープできない時間の積算
- 直近28日間の全ユーザーセッション
ただし、システムが保持するウェイクロックや音楽再生、ユーザーが明示的に行うデータ転送などはカウント対象外となります。

具体的には、
1人のユーザーが24時間で2時間以上の“非免除ウェイクロック”を発生させた場合、1セッションとして過剰と判断されます。
さらに、
直近28日間の全セッションのうち5%以上がこの基準を超えると“悪質な振る舞い”として扱われる仕組みです。
条件を満たしたアプリは、開発者向けダッシュボードに警告が表示され、Google Play上では推奨枠など目立つ場所から外される可能性があります。
開発者には外部SDKの挙動チェックも求められる
今回の施策によって、アプリ開発者は自身のアプリの動作だけでなく、組み込んだ外部ライブラリやSDKが不要なウェイクロックを発生させていないかも注意深く監視する必要があります。
Googleは「過剰なウェイクロックを速やかに解消し、ユーザー体験を損なわない形に改善することが重要」と強調しています。
マルウェア対策として利用されるのか?
スパイウェアやアドウェアなど、バッテリーを浪費しながらネットワークを維持し続ける不正アプリの検出に利用されるのかという質問に対し、Googleは次のように回答しています。
「この機能の主目的はバッテリー性能と技術品質の向上であり、マルウェアの特定を狙ったものではありません。」
つまり、この仕組みは動作の“悪質さ”を判断するもので、アプリが悪意を持つかどうかとは別問題という立場です。ただし、結果的には不正アプリの一部が可視化される可能性はありそうです。
GoogleがPlayストア内でアプリの“省電力性能”を明確に示すようになることで、ユーザーにとってはアプリ選びがより安心しやすくなり、開発者にとっては最適化が一層重要になる流れが加速していきそうです。

