
Pixel 10シリーズは多くの点で完成度が高い一方、バッテリーについてはユーザーの評価が割れています。小型モデルは一日問題なく使えるという声がある一方で、Pixel 10 Pro XLでは夕方まで持たないこともあり、「安定しない」という意見も少なくありません。
この“謎のバッテリー落ち”はどこから来るのか。Android AuthorityのRobert Triggs氏は、Pixel 10 Pro XL・Pixel 9 Pro XL・Galaxy S25 Ultraの3機種を使い、実際に消費電力ログを確認しながら検証を行いました。
画面を消して放置しているときは問題なし
まず安心材料として、アイドル時の消費電力は3機種ともほとんど差がありません。Wi-Fi接続中・待機状態で勝手に電池が減る、といった症状はなさそうです。YouTubeストリーミングやWi-Fiでのファイルダウンロードでも、大きな差は見られませんでした。

問題は「モバイル通信」時に表れる
差がはっきりしたのは、4G/5G通信に切り替えた場面です。
特に、電波状態が悪い場所ではPixelの消費電力が急増。検証地の電波は4G+で-104dBmというかなり厳しい条件でしたが、そこでデータ通信を行うと、Pixel 10 Pro XLもPixel 9 Pro XLもGalaxy S25 Ultraより電力消費が大幅に増加しました。
Wi-FiではGalaxyと近い数値だったにもかかわらず、4G使用時にはPixelが平均で2.5W超、Galaxyは約2Wと、常にPixel側が不利という結果です。
とくにデータ量の多い動作──1080p動画のストリーミングや中容量のファイルダウンロード──では差が広がり、Pixel 10 Pro XLは前モデルよりも変動幅が大きい場面もありました。
モデムの電力制御が苦手?
今回測定されたパターンから考えると、Pixelのモバイル通信モデム(Samsung製 Exynos 5400)または電波制御周りが、負荷の高い通信時に多くの電力を使う可能性があります。
Pixel 9 Pro XLと10 Pro XLはどちらも同じ系統のモデムを採用していますが、Tensor G5では低レベル部品が一部変更されており、その影響が出ている可能性も指摘されています。データ量が大きい通信や、弱い電波を補うための出力増加で電力が急激に消費され、体感として「バッテリーが安定しない」状況が発生しているようです。
ピンと来た人も多いはず:「外だと急に電池が減る」現象
日常で感じているユーザーは多く、記者の同僚は「自宅のWi-Fi下では丸一日持つが、外出やローミング時は画面点灯時間が悲惨」とコメント。これはPixel 6の頃から続く不満点で、まだ完全には解消されていないようです。

ちなみに、同じ弱電波環境でもGalaxyの方が消費電力の変動が少なく、一定以上の効率を維持します。ここがユーザー体験の差となって表れているのかもしれません。
対策は……残念ながら「重い通信を避ける」しかない?
もし外出中に電池が極端に減るなら、原因はスマホそのものより「弱い電波×モバイル通信の負荷」である可能性が高いです。
とはいえ、根本的な解決策は現状ありません。動画ダウンロードやビデオ通話、長時間ストリーミングは特に消耗が大きいため、可能ならWi-Fi環境で事前に読み込みしておくのが現実的な対応策です。
Google側がモデム制御や電力管理を改善しない限り、Pixelユーザーはモバイルバッテリーを持ち歩くのが安心かもしれません。

