
Googleは、Pixelシリーズの一部端末で発生していた深刻な“ブートループ(無限再起動)問題”を修正するため、Android 16 QPR2 Beta 3.1を急遽リリースしました。この不具合は、開発者向けオプションの「デスクトップ機能」を有効にした状態でアップデートを行ったユーザーに集中して発生しており、Pixel 6シリーズを中心に多数の報告が上がっていました。
わずか1日で配信停止されたBeta 3
問題の発端は、Googleが先週リリースした「Android 16 QPR2 Beta 3」アップデートです。配信開始からわずか24時間も経たないうちに、Pixelユーザーから「再起動を繰り返す」「起動ロゴから進まない」といった報告が相次ぎ、Googleは配信を即座に停止しました。
不具合の原因は、開発者設定で「デスクトップ体験機能(Enable desktop experience features)」をオンにしていた端末で、システムが破損し起動不能になるというものでした。この結果、端末が“ソフトブリック”状態に陥り、操作不能となってしまうケースが多発しました。
対象はPixel 6シリーズを中心に
今回のBeta 3.1アップデートは、すべてのPixelユーザー向けではありません。主に、Beta 2の状態からBeta 3を正常にインストールできなかったPixel端末──特にPixel 6/6 Pro/6aが対象となっています。
Pixel 6シリーズでは、配信が途中で中断された影響もあり、今回のBeta 3.1は通常よりも容量の大きいアップデートとなります。これは、Beta 3で予定されていた修正内容と、ブートループ対策のパッチを統合したためです。
一方で、すでにBeta 3を正常にインストール済みのPixel 7以降のモデルでは、小規模な修正パッチとして配信されています。
再起動ループからの復旧方法
もしPixel端末がブートループ状態に陥っている場合、Beta 3.1を直接適用してもすぐには復旧しません。Googleは、まず「システムを数回起動失敗させる」ことを推奨しています。PixelシリーズはA/Bパーティション構造を採用しているため、複数回の起動失敗を経て自動的に前の安定バージョン(Beta 2)へロールバックされる仕組みです。
それでも改善しない場合、ADB(Android Debug Bridge)やUSBデバッグを有効にしていたユーザーは、手動でBeta 3.1のパッケージをサイドロードすることが可能です。この方法ではデータが消去されることはありません。
ただし、いずれの手段も無効な場合、最終手段としてリカバリーモードからの「出荷時リセット(データ消去)」が必要となります。この場合は内部ストレージのすべてのデータが削除されますが、端末自体は確実に起動できるようになります。
今回のBeta 3.1には新しい機能や改善点は含まれておらず、ブートループ問題の修正のみを目的としたリリースです。ただし、Beta 2から直接アップデートするPixel 6シリーズのユーザーには、Beta 3で予定されていたすべての修正内容も同時に適用されます。
Googleの迅速な対応により、テスターたちはようやく再び安定した環境でAndroid 16の次期機能を試すことができそうです。