
ソフトバンクは、次世代の音声通信技術「VoNR(Voice over New Radio)」を2025年10月9日より商用サービスとして提供開始すると発表しました。対応機種の第一号はソニー製の「Xperia 10 VII(A502SO)」となり、国内市場で初めてVoNRを利用できるスマートフォンが登場します。
これまでの通話はVoLTEで提供
ソフトバンクは5Gサービスを提供してきたものの、音声通話についてはこれまで4G LTE回線を利用する「VoLTE」で行っていました。5Gのネットワーク構成にはLTEと併用するノンスタンドアローン(NSA)と、5Gのみで動作するスタンドアローン(SA)の2種類がありますが、従来はSA構成においても「EPSフォールバック」によってLTE回線に切り替え、VoLTEで通話していました。
今回の商用化により、SA構成下ではVoNRに対応した端末であれば、5G回線のまま音声通話が可能になります。
VoNRのメリットとは
VoNRは、5GのNR方式を利用した音声・ビデオ通信技術です。3GPPの「Release 15」以降で規格化されており、LTE回線を利用するVoLTEの進化版といえます。最大の特徴は、通話接続の高速化と高音質化です。発信してから呼び出し音が鳴るまでの遅延が短縮されるほか、通話中も高速データ通信を維持できるため、同時に大容量コンテンツの利用がしやすくなります。

音声コーデックには「EVS(Enhanced Voice Services)」や、さらに進化した「IVAS(Immersive Voice and Audio Services)」が利用可能で、これにより従来のVoLTE(HD+)を上回るクリアな通話品質が期待できます。さらに映像通話ではH.265を活用することも可能です。
利用条件と料金
ソフトバンクによると、VoNRの利用に特別な申し込みや追加料金は不要です。10月9日時点ではXperia 10 VIIが唯一の対応機種ですが、今後は他の5Gスマートフォンにも順次拡大していくとみられます。
今後の展望
VoNRは、5Gの「音声・ビデオ通話技術」の最終到達点と位置付けられています。これまでのように4Gへ切り替える必要がなく、真の意味での“フル5G体験”を実現する技術です。今回の商用化は、日本の音声通信サービスが新たな段階に入ったことを示すものであり、Xperia 10 VIIはその先陣を切る存在となります。