
MediaTekは9月23日、新たなスマートフォン向けチップセット「Dimensity 7360」を正式発表しました。名称こそ新しいものの、昨年登場したDimensity 7300をベースとしたリブランドモデルとされています。
ゲーム向け最適化と高効率設計
Dimensity 7360は、最大2.5GHz駆動のArm Cortex-A78コア×4とCortex-A55コア×4を搭載。最新の「Adaptive Gaming Technology 3.0」により、ゲームプレイ中のビジュアルとパフォーマンスを自動調整し、フレームレートを安定させつつ電池持ちを向上させます。
MediaTekによれば、同クラスの競合プラットフォームと比べて最大20%のフレームレート向上と20%の電力効率改善を実現するとのことです。
カメラ機能は200MPに対応
イメージング面では「Imagiq 950 ISP」を採用し、200MPのメインカメラをサポート。12ビットHDR処理や4K HDR動画撮影に対応し、競合製品より50%以上広いダイナミックレンジを実現します。さらに、顔検出やノイズ低減をハードウェアで処理する機能を搭載し、ライブフォーカスや写真のリマスタリングも高速化されています。
ディスプレイ・接続性能も強化
映像面では「MiraVision 955」がWFHD+解像度や10ビットカラー表示に対応し、より鮮やかな画質を提供します。接続性では、Bluetoothの通信速度を倍増させる「Lightning Connect」やアンテナ性能を最適化する「UAC 2.0」を搭載。5Gは3CCキャリアアグリゲーションにより最大3.27Gbpsの下り速度を実現し、エリア間のハンドオーバーも滑らかです。さらに、省電力技術「5G UltraSave 3.0+」やデュアル5G SIM(デュアルVoNR)にも対応しています。
AI処理とメモリ対応
内蔵の「NPU 655」はAI処理効率を高め、混合精度データ型に対応することで、より高度なビジュアル処理が可能になります。メモリはLPDDR4x/LPDDR5、ストレージはUFS 3.1に対応しており、現行のミドルレンジ〜ハイエンドスマートフォンに十分な性能を備えています。
競合製品との位置づけ
Dimensity 7360は性能面・機能面ともに、サムスンのGalaxy AシリーズやGoogleのPixelのミドルレンジモデルに搭載されるSnapdragon系チップに対抗する存在と見られます。特にAI処理やカメラ機能、ゲーム最適化といった領域では、ミドルレンジ市場での競争力強化に寄与しそうです。