
サムスンとクアルコムによるモバイル向けチップセット市場の主導権争いが再び注目を集めています。クアルコムは、最近の決算説明会において「今後もサムスン製スマートフォンの75%以上で自社製プロセッサーが採用され続ける」と強調し、サムスンの自社開発SoC「Exynos」との競争姿勢を改めて鮮明にしました。
クアルコム依存が続くサムスン ─ Exynosの苦戦が背景に
サムスンは世界最大級のスマートフォンメーカーでありながら、モバイル向け半導体事業では長年苦戦を強いられています。特にExynosチップは性能面でクアルコムのSnapdragonに劣るという評価が根強く、サムスン製フラッグシップモデルの多くでSnapdragon採用が続いているのが現状です。
クアルコムの強気な発言も、この背景を踏まえたものに他なりません。事実、過去数世代にわたりSnapdragonは性能・電力効率・発熱管理の各面でExynosを上回り、市場シェアを盤石なものとしてきました。
Exynos 2600 ─ サムスンの反撃なるか?
そうした中、サムスンが2026年に投入予定とされる次期SoC「Exynos 2600」が注目を集めています。リーク情報によれば、Exynos 2600は10コア構成のCPUを採用し、1つの超高性能コア、3つの高性能コア、6つの省電力コアという設計となる模様です。
グラフィックス面では、新開発の「Eclipse 960 GPU」を搭載。Snapdragon 8 Eliteに搭載されているAdreno 830 GPUを約15%上回る性能向上が期待されています。この性能差が事実であれば、Exynos 2600は久々にSnapdragonに対抗できる強力な武器となるかもしれません。
Snapdragon 8 Elite Gen 2との直接対決に注目
ただし、最終的な評価は実機での使用感やベンチマークによって左右されます。クアルコムも次期フラッグシップ向けSoCとして「Snapdragon 8 Elite Gen 2」を準備中とされており、Exynos 2600との真っ向勝負が避けられない状況です。
この両者の対決結果は、サムスンの半導体戦略だけでなく、世界的なスマートフォン市場におけるプロセッサー勢力図にも影響を及ぼす可能性があります。ハイエンド端末の性能だけでなく、地域ごとの販売モデル構成にも変化が生じるかもしれません。
サムスンが自社製チップで再び存在感を取り戻せるのか、それともクアルコムの独走が続くのか──Exynos 2600の動向から目が離せません。