
GoogleのPixelスマートフォンが、ニューヨーク市の地下鉄車両の異常を検知する実験に活用され、その成功率が92%に達したことが明らかになりました。この技術が実用化されれば、従来の高価なスキャナーを置き換え、コスト削減や事故防止につながる可能性があります。
Pixelスマホが地下鉄の安全管理に活躍—MTAとGoogleの実証実験
ニューヨークの地下鉄を運営するMTA(Metropolitan Transportation Authority)とGoogleは、2024年9月から約4か月間、Pixelスマートフォンを使った地下鉄車両の異常検知システムのテストを実施しました。
従来、地下鉄のレールや車両の異常を検知するには、専門スタッフが延べ1,070km以上の路線を歩きながら点検するか、「トレインジオメトリーカー」と呼ばれる高額なセンサー搭載車両を走行させる必要がありました。しかし、Googleが開発した新技術「TrackInspect」を活用することで、手頃なコストでより効率的な異常検知が可能になるかもしれません。
Pixelスマホのセンサーを活用—AIが異常を自動解析
このプロジェクトでは、Pixelスマートフォンが音・振動・位置情報を記録し、それらのデータをAIモデルに学習させることで異常の検知を行いました。
実験の結果、Pixelスマホは異常があると判定した地点の92%が、実際に点検チームによって確認されるという高精度な成果を記録。TrackInspectは、3億3,500万件以上のセンサーデータと1,200時間の音声情報を収集し、さらにニューヨーク地下鉄のインフラデータと組み合わせて約200種類の異常検知モデルを構築しました。
将来的には「自己修復型」システムの可能性も
MTAの社長デメトリウス・クリチロウ氏は、この取り組みが将来的により高度な自動検知・修復システムの基盤になると期待を寄せています。彼によると、「問題を早期に発見し、深刻化する前に解決する」ことが、ニューヨーク地下鉄の安定運行には不可欠とのこと。
同市の地下鉄は1日あたり約370万人が利用しており、点検の精度向上は通勤・通学者の利便性向上にも大きく貢献します。現在、このプロジェクトは正式なパイロット段階に移行しており、Googleは今後量産型のシステムを開発する予定です。もしこの技術が本格導入されれば、大幅なコスト削減と地下鉄の安全性向上が実現する可能性があります。