
Qualcommのクリスティアーノ・アモンCEOは、2026年のMobile Network Conferenceで、次世代通信規格「6G」は当初からAIの活用を前提に設計されていると説明しました。通信ネットワークそのものにAIを組み込み、通信品質の予測やネットワーク全体の効率化を実現する構想です。業界では2029年ごろの商用展開が目標とされています。
6Gでは通信ネットワークそのものにAIを統合
アモンCEOによると、6Gではスマートフォンなどの端末、エッジシステム、クラウドの間で、状況に関する情報を継続的にやり取りできるようになります。
特に注目されるのが、AIを無線通信システムに直接組み込む点です。従来のように電波状況を把握するだけでなく、信号品質の変化を事前に予測することで、電波が弱い環境でも安定した通信性能を維持することを目指しています。
また、AIの処理能力をデータセンターだけに集中させるのではなく、基地局やネットワークのエッジなどにも分散させる計画です。こうした構成によって、AIの計算や推論をネットワーク全体で効率的に処理し、応答性の向上につなげるとしています。
Qualcommは6G試作機の検証も進める
6Gの実用化に向けた技術検証も進んでいます。
2026年9月には、Qualcommと中国移動通信集団(China Mobile)が、U6G帯に対応する基地局の試作機と6G端末の試作機を使った相互接続試験を実施しました。最新の3GPP仕様に沿った試験であり、研究段階からシステム全体の検証へと進んでいることを示す動きです。
さらに11月の第9回中国国際輸入博覧会では、Qualcommが最新の3GPP仕様に準拠した6G端末の試作機を公開しました。研究施設の外で実機を一般公開するのは初めてとされ、中国移動通信集団やZTEとの共同試験にも使用されています。
6Gでは通信・AI・コンピューティングの融合が進む
Qualcommでエッジソリューションおよびデータセンター事業を担当するデュルガ・マラディ上級副社長も、2026年8月の6G関連イベントで、通信、AI、コンピューティングの境界が急速に曖昧になっていると説明しました。
5Gが主にモバイルブロードバンドの高速化を重視してきたのに対し、6GではAIを前提としたネットワーク構成に加え、通信とセンシングの融合、ネットワーク全体での分散コンピューティングなどが重要な要素になるとされています。
また、マラディ氏は6Gによって「インテリジェントAIエージェント」と呼ばれる新しいタイプのデバイスが登場するとの見方も示しました。中国ではすでに、こうした方向性につながる動きが見られるとしています。
6Gは単純に通信速度を引き上げるだけでなく、ネットワークそのものにAIを組み込むことで、通信環境やデバイスのあり方を変える技術になりそうです。ただし、現時点では試作機や技術検証の段階であり、2029年という時期も業界が目指す商用展開の目安です。実際のサービス開始時期や対応端末の普及には、今後の標準化や各国のインフラ整備が影響すると考えられます。


