
TSMCが将来の1nm世代半導体の製造に向け、台湾南部の台南サイエンスパークで新たな工場用地の開発を計画している可能性が浮上しました。台湾の国家科学及技術委員会(NSTC)を率いる呉誠文(Cheng-Wen Wu)氏が国際学会で関連計画に言及したもので、開発は2027年に始まる見通しです。
台湾政府が台南に1nm世代向けの新たな用地を計画
IEEE Asia Solid-State Circuits Conferenceで講演した呉氏は、台南サイエンスパークの既存エリアに加え、1nm世代の半導体製造技術を対象とする新たな産業用地の開発を計画していると説明しました。
講演では具体的な企業名は挙げられていません。ただし、台湾で最先端の半導体製造を手掛ける企業は限られていることから、この計画はTSMCの次世代工場に関連するものとみられています。
呉氏によると、開発に向けた取り組みは2027年に始まる予定です。2nmプロセスの量産が進む一方、さらに微細化を進めるには技術開発だけでなく、電力や水、土地、関連サプライチェーンの確保も重要になるとしています。
TSMCはまず1.4nm世代のA14を開発中
TSMCは現在、1nm世代よりも前の技術となるA14プロセスの開発を進めています。A14は一般に1.4nm世代と呼ばれる製造技術で、同社は2028年の量産開始を予定しています。
一部のサプライチェーン情報では、量産開始が2027年後半に前倒しされる可能性や、同年後半にリスク生産が始まるとの見方も出ています。ただし、これらは公式発表された計画ではありません。
リスク生産は、本格的な量産に移行する前に製造装置や工程の問題を確認する段階です。仮に2027年に始まったとしても、すぐに大量の製品が出荷されるわけではありません。
今回の1nm世代向け用地の計画は、こうしたA14よりもさらに先を見据えた動きといえます。
ロボットや光通信分野のサプライチェーンにも言及
呉氏の講演では、半導体製造だけでなく、ロボットや光通信といった成長分野についても触れられました。
ロボット産業については、金属やプラスチックなどの素材メーカーが、より付加価値の高い産業に参入する機会になると説明しています。また、光通信については、データセンターのサーバーラック内にとどまらず、さらに幅広い用途へ展開するための技術進歩が必要だと指摘しました。
TSMCは大学などとの共同研究も進めており、国立陽明交通大学(NYCU)との研究では、トランジスタ製造に関する表面工学の分野で進展があったと報じられています。こうした研究は、将来的な1nm未満の製造技術を実現するための基盤になる可能性があります。
ただし、今回の台湾政府による発言は1nm世代の工場用地に関する開発計画を示したもので、TSMCが正式に建設を発表したわけではありません。実際の工場建設や量産開始までには、技術開発に加えて電力・水などのインフラ整備も必要になります。まずは2027年に予定されている開発計画の具体化が注目されます。

