
PlayStation 5上でPlayStation 3のゲームを動作させる非公式の取り組みが、新たな進展を見せています。PS3エミュレーター「RPCS3」をPS5向けのネイティブアプリとして動作させる移植版が公開され、一部のゲームでは60fpsでの動作も確認されました。PS3との互換性が公式に提供されていないPS5ですが、今回の成果は、ハードウェアの性能だけが対応を阻む要因ではない可能性を示しています。
Linux不要でRPCS3を直接実行
今回公開されたのは、開発者がGitHubで公開している非公式プロジェクト「RPCS3-PS5」です。従来のようにPS5へLinuxをインストールして、その上でエミュレーターを起動するのではなく、PS5向けのネイティブアプリとしてRPCS3を動作させる仕組みです。
グラフィックスの描画にはVulkanとPS5向けに移植されたRADVドライバーを使用し、音声出力にはSceAudioOut、コントローラー入力にはScePadを利用しています。画面構成にはRPCS3のBig Pictureモードが採用されており、ゲームの選択や設定などをコントローラーで操作できます。
ただし、現時点では実験的な段階にあり、利用には脱獄(Jailbreak)したPS5が必要です。通常のPS5にインストールするだけで利用できるものではなく、RPCS3の公式開発チームが提供する移植版でもありません。
Need for Speed Carbonは60fpsで動作
現時点での動作確認は、脱獄したPS5 Proと限られたタイトルにとどまっています。
開発者の報告によると、レースゲームの「Need for Speed Carbon」は60fpsで動作し、実用的にプレイできる状態に達しています。一方、初代「inFAMOUS」では動作するものの、処理の重い場面などでカクつきやフレームレートの低下が発生するとのことです。
まだ検証されていないゲームも多く、PS3タイトル全般が快適に動くわけではありません。起動時の処理やシェーダーのコンパイルなどに伴うカクつきも想定されており、今後の開発による改善が必要です。
それでも、Linuxを介さずPS5上でエミュレーターを直接動作させ、一部タイトルで60fpsを実現したことは注目に値します。
PS3の後方互換性は技術的に不可能なのか
PS5はPS4との後方互換性を備えていますが、PS3のゲームを本体上で直接実行する機能はありません。PS3タイトルを遊ぶには、PlayStation Plus プレミアムのクラウドストリーミングに対応した作品を利用する必要があります。
PS3は、独自のCellプロセッサーを採用するなど、当時としても特殊なハードウェア構成を持つゲーム機でした。そのため、PS3向けソフトを別のアーキテクチャーで動作するPS5上で再現するには、単純な性能向上だけでは解決できない課題があります。
しかし、RPCS3をPS5上で動作させた今回の事例や、Linux環境を利用した過去の検証では、一部のPS3タイトルが高いフレームレートで動作することも確認されています。こうした成果は、PS5の性能がPS3エミュレーションを一律に不可能にしているわけではないことを示しています。
もちろん、非公式の環境で一部のゲームが動いたからといって、すべてのPS3タイトルを安定して動作させられるわけではありません。幅広いゲームで互換性を確保し、描画や音声、操作などの問題を解消したうえで、一般ユーザーが安心して利用できる品質に仕上げるには相応の開発作業が必要です。
PS6での対応に期待
今回の成果を踏まえ、今後のPlayStationでPS3との後方互換性が実現するかにも関心が集まりそうです。次世代機のPS6ではCPU性能の向上が見込まれており、PS3エミュレーションに必要な処理能力を確保しやすくなる可能性があります。
ただし、現時点でSonyがPS6にPS3との後方互換性を実装すると発表したわけではありません。実際に対応するには、ハードウェアの性能に加えて、エミュレーションの最適化やタイトルごとの動作検証、公式サポートの体制も重要になります。
PS5向けRPCS3はまだ実験段階ですが、PS3のゲームを現行ハードで遊ぶ可能性を改めて示す事例となりました。今後の技術的な進歩だけでなく、Sonyが公式の後方互換性をどこまで重視するかも注目点です。
