
Qualcommが新たに展開する「Snapdragon 8 Elite Gen 5 V Series」の詳細が明らかになりました。名前からはSnapdragon 8 Elite Gen 5の上位派生モデルにも見えますが、実際には標準版からGPUの構成やキャッシュ容量を削減したモデルであることが判明しています。一方、CPUやNPU、モデムなどの主要部分は標準版と共通しており、処理性能とグラフィックス性能のバランスを調整したチップといえそうです。
GPUは3スライスから2スライスへ
Qualcommが公開した公式仕様によると、Snapdragon 8 Elite Gen 5 V Series(SM8850-1-AB)は、標準版Snapdragon 8 Elite Gen 5をベースにGPUを一部無効化したモデルです。
GPUにはAdreno 840を採用していますが、構成は2スライスとなっており、1.2GHzで動作します。標準版Snapdragon 8 Elite Gen 5は3スライス構成で、動作周波数は同じ1.2GHzです。
さらに、Galaxy向けのSnapdragon 8 Elite Gen 5では3スライス構成かつ1.3GHzで動作するとされているため、V SeriesではGPU性能を明確に抑えていることが分かります。
興味深いのは、この2スライスという構成がSnapdragon 8 Gen 5と同じ規模であることです。Snapdragon 8 Gen 5は2スライスのAdreno 829を搭載し、動作周波数は約1.225GHzとされています。
つまり、Snapdragon 8 Elite Gen 5という名前を冠しながら、GPUについては非EliteモデルのSnapdragon 8 Gen 5に近い構成となっています。
キャッシュ容量も18MBから12MBに削減
削減されているのはGPUスライス数だけではありません。
Snapdragon 8 Elite Gen 5 V SeriesのAdreno HPM(High Performance Memory)は12MBで、標準版の18MBから6MB少なくなっています。
それでもSnapdragon 8 Gen 5の2MBを大きく上回っているため、完全にミドルレンジ向けというわけではありません。GPUコア数を減らしつつ、キャッシュ容量についても調整することで、標準版よりもグラフィックス性能を抑えた仕様になっていると考えられます。
一方、CPU、NPU、モデムなどGPU以外の主要スペックは標準版Snapdragon 8 Elite Gen 5と共通しています。
そのため、CPU性能やAI処理、通信機能についてはEliteシリーズらしい性能を維持しながら、GPU部分だけを抑えたチップと見ることができます。
Redmi K100 Proに搭載へ
Snapdragon 8 Elite Gen 5 V Seriesを採用することが確認されているのが、Xiaomiの新型スマートフォン「Redmi K100 Pro」です。
Redmi K100 Proは中国で8月11日に発表される予定で、上位モデルのRedmi K100 Pro Maxと同時に登場します。
Xiaomiが公開した情報では、Redmi K100 ProはAnTuTu V11で409万5,000点を記録したとされています。標準版Snapdragon 8 Elite Gen 5を搭載するRedmi K100 Pro Maxは455万点を記録しているため、両モデルの性能差にはGPU構成の違いも影響している可能性があります。
今回のV Seriesは、Snapdragon 8 Elite Gen 5のCPUやAI処理性能などを維持しながら、GPUを抑えることで製品価格や消費電力などを調整するための派生モデルとみられます。
これまでSnapdragon 8 Elite Gen 5シリーズでは確認されていなかったGPUのビニングモデルが登場したことで、今後は同じEliteブランドでも、搭載GPUによって性能に大きな差が生じるケースが増える可能性があります。
Snapdragon 8 Elite Gen 5という名称だけを見るとフルスペックの標準版と同等に思えますが、ゲームなどGPU性能が重要な用途では、標準版との違いを意識する必要がありそうです。


