
MediaTekが開発を進めている次期フラッグシップ向けSoC「Dimensity 9600」に関する情報が徐々に明らかになってきました。正式発表は2026年第3四半期とみられていますが、その高い性能ポテンシャルから、すでに大きな注目を集めています。Qualcommの次世代ハイエンドチップに匹敵する存在になるとの見方もあり、アジア圏のスマートフォンメーカーを中心に関心が高まっています。
TSMCの最先端プロセス「N2P」を採用か
Dimensity 9600は、TSMCの2nm世代プロセスをベースとした「N2P」を採用する可能性が高いとされています。N2Pは標準のN2と比べて約5〜10%の性能向上が見込まれる改良版プロセスです。
MediaTekは近年、フラッグシップ向けチップにおいて効率重視コアの比重を下げる設計方針を取っており、より高性能なコア構成へとシフトしています。そのため、電力効率とパフォーマンスを両立するうえで、最先端プロセスの採用は理にかなった選択といえそうです。
新世代「ARM C2」コアを搭載予定
CPU構成は、現行のDimensity 9500と同じく8コア構成になるとみられています。内訳は以下のような構成が予想されています。
・ARM C2-Ultraコア ×1
・ARM C2-Premiumコア ×3
・ARM C2-Proコア ×4
ARMは2026年9月にも「C2」ブランドの新CPUコアを発表すると見られており、それをいち早く採用する形になる可能性があります。
一方で、Qualcommが準備している次世代チップと同様に、2+3+3構成へ変更される可能性も指摘されています。その場合はC2-Ultraを2基搭載する、より攻めた設計になるかもしれません。
Mali-G2 Ultra GPUと強化されたAI処理
GPUには、ARMの新世代フラッグシップGPU「Mali-G2 Ultra」が採用される見通しです。10コア以上の大規模構成となり、ハードウェアレベルでのレイトレーシング対応が標準機能になるとみられています。
さらに注目されるのが、GPUとNPUの連携強化です。新たに導入されるとされるNeural Shader Schedulerにより、動き推定やアップスケーリング、フレーム再構築といったAI推論処理をGPUとNPUで分担。これにより消費電力の削減と処理効率の向上を両立する設計になる可能性があります。
なお、MediaTekが廉価版のDimensity 9600を投入するかどうかは現時点で不透明です。仮に登場する場合は、GPU性能を抑えた構成になると予想されています。
LPDDR6メモリやUFS 5.0対応の可能性
メモリは次世代規格のLPDDR6に対応する可能性が取り沙汰されています。実現すれば、理論上は現行LPDDR5よりも高い帯域幅を確保でき、AI処理や高解像度ゲームなどで有利に働くと考えられます。
ストレージについても、UFS 5.0への対応が見込まれています。
ただし、メモリ価格の高騰が続いていることから、最終的にLPDDR6が採用されるかどうかは不確定です。コストバランスを重視するなら、LPDDR5を選択する可能性も十分にあります。もし廉価モデルが展開される場合は、LPDDR5が採用される公算が大きいでしょう。
価格と採用動向
前世代のDimensity 9500は1チップあたり180〜200ドルと報じられていました。しかし、近年は半導体やメモリ価格の変動が大きく、単純な世代間比較は難しい状況です。
中国の著名リーカーによると、Dimensity 9600はコストパフォーマンスの高さから、アジアのスマートフォンメーカーに広く採用される可能性が高いとされています。特に、Qualcommの次世代最上位モデルが高価格帯になると予想されていることから、価格面での優位性が武器になるとの見方です。
発表時期は2026年第3四半期、なかでも9月が有力視されています。次世代フラッグシップ市場において、MediaTekがどこまで存在感を高められるのか。Dimensity 9600の正式発表が大きな転機になるかもしれません。

