
米国でWi-Fiを取り巻く環境に大きな変化がありました。米連邦通信委員会(FCC)は、6GHz帯におけるWi-Fi利用ルールを見直し、条件付きでより高出力かつ屋外での利用を認める新たな制度を承認しました。すぐに体感できる変化は限られるものの、今後登場するスマートフォンやスマート家電の通信性能に影響を与える可能性があります。
6GHz帯で新たに認められた「GVP」という仕組み
今回FCCが承認したのは、「Geofenced Variable Power(GVP)」と呼ばれる新しい無線機器の区分です。
これは、位置情報を活用した制御を行うことで、既存の利用者への干渉を避けながら、従来より高い出力で6GHz帯を使用できる仕組みです。これにより、これまで原則として低出力かつ屋内利用に制限されていた非免許Wi-Fi機器でも、条件次第で屋外利用が可能になります。
スマートホームやウェアラブルへの恩恵に期待
FCCはこの制度変更について、ウェアラブル端末やスマートホーム機器、さらにはARグラスのような新しいカテゴリの製品を支えるためのものだと説明しています。
Wi-FiはもはやPCやスマートフォンだけのものではなく、常時接続を前提とした機器が増えている中で、従来の制限が足かせになっていたという指摘もありました。
将来的には、庭やガレージまで安定して通信できるメッシュWi-Fiルーターや、屋内外を移動しても接続が途切れにくいウェアラブル端末などが現実味を帯びてきそうです。
すぐに変化はないが、将来の製品設計に影響
FCCのブレンダン・カー委員長は、今回の決定をWi-Fiを「次の段階へ押し上げるもの」と表現しています。すでに6GHz帯の拡張利用を見据えたルーターや通信チップの開発も進んでおり、数年後に登場する製品でその効果が表れてくるとみられます。
米国では6GHzホットスポット解禁が進行中
なお、米国ではスマートフォンによる6GHz帯Wi-Fiテザリング自体も、比較的最近になって認められたばかりです。GoogleはPixelシリーズでこの機能を順次有効化しており、今回のFCCの判断は、こうした流れをさらに後押しするものとなります。
日本など他国では事情が異なる点に注意
一方で、この制度変更はあくまで米国国内における話です。
日本を含む他の国や地域では、6GHz帯の利用条件や屋外使用の可否、出力制限が異なっており、同様の運用がすぐに認められるとは限りません。実際の対応は各国の規制当局の判断に委ねられます。
Wi-Fiは普段あまり意識されない存在ですが、こうした制度の変化が、数年後の通信体験を大きく左右します。次世代のAndroid端末やスマートデバイスが登場する頃、今回のFCC決定が「効いてくる」場面が増えていきそうです。
