
スマートフォン向けSoC(System on a Chip)市場について、2026年は出荷数量が減少に転じるとの予測が示されました。市場調査会社Counterpoint Researchの最新レポートによると、2026年の世界全体のスマートフォン向けSoC出荷数は前年比で約7%減少する見通しです。一方で、売上高については引き続き成長が見込まれており、市場構造の変化が鮮明になりつつあります。
メモリ価格の上昇が出荷減少の大きな要因に
Counterpointが発表した「Global Smartphone SoC Model Shipments and Revenue Tracker Q4 2025(速報版)」によると、これまで数年連続で成長してきたスマートフォン向けSoC市場は、2026年に減速する可能性が高いとされています。特に影響が大きいのがメモリ価格の上昇で、なかでも150ドル未満の低価格帯スマートフォンへの打撃は避けられない見通しです。

ファウンドリーやメモリメーカーが、高収益が見込めるHBM(広帯域メモリ)の生産を優先し、データセンター向け需要に注力していることも、供給制約やコスト増につながっています。この結果、4G端末やエントリークラスの5Gスマートフォン向けSoCを多く手がけるベンダーは、2026年にかけて厳しい状況に直面するとみられています。
自社SoCを持つメーカーは比較的有利な立場に
その一方で、Google、Huawei、Samsung、Xiaomiといった自社開発SoCを持つブランドは、こうした市場環境の変化に対して比較的柔軟に対応できるとされています。Counterpointは、メモリ供給の制約が続く中、各メーカーが短期的な調整を行い、製品ラインアップの整理やクラウド処理の活用を進めていると指摘しています。
こうした状況から、スマートフォン全体の出荷台数が本格的に回復するのは2027年以降になる可能性が高いと見られています。
3nmから2nmへ、先端SoCは新たな段階へ移行
2026年は、プレミアム向けスマートフォンSoCにとって技術的な転換点にもなりそうです。先端プロセスは3nmから2nmへと移行し、新たな世代に入ります。Samsungはすでに初の2nmプロセスを採用したExynos 2600を発表しており、一部地域ではGalaxy S26およびGalaxy S26+に搭載される予定です。
この動きは、先端半導体分野における競争がさらに激化することを示しており、SoCの高性能化と高コスト化が同時に進む局面に入ったと言えます。
出荷減でも売上は2桁成長、プレミアム化が後押し
出荷数量が減少する一方で、スマートフォン向けSoC市場の売上高は2026年も2桁成長が見込まれています。背景にあるのは、端末のプレミアム化の進行に加え、メモリ価格の上昇や、AI機能の急速な普及です。
特にAppleやQualcommは、このプレミアム化の流れから大きな恩恵を受ける可能性があります。一方で、MediaTekも存在感を強めており、今後数年で競争がさらに激しくなると見られています。Samsungも徐々にプレミアムSoCの採用拡大を進めていますが、成熟市場での需要低迷やコスト増が、長期的な出荷台数の伸びを抑える要因になる可能性があります。
生成AIがSoC価値を押し上げる時代へ
生成AI機能の本格展開も、市場構造を変える重要な要素です。Counterpointによると、2026年にはオンデバイスAIのピーク性能が約100TOPSに達し、プレミアムスマートフォンの約9割がオンデバイスAIに対応すると予測されています。
一方で、価格帯が100〜500ドルのミドルレンジ端末では、コスト抑制のためにクラウドベースのAI処理を活用する動きが主流になる見通しです。メモリ価格の上昇が続く中、AI機能の実装方法そのものが、端末の価格やSoC構成を左右する重要な判断材料になりつつあります。
2026年のスマートフォン向けSoC市場は、数量の縮小と価値の拡大が同時に進む転換期となりそうです。出荷台数だけでは測れない「中身の競争」が、今後ますます重要になっていくことは間違いありません。


