
MediaTekが、次世代フラッグシップ向けチップの展開方法について判断を保留していることが分かりました。業界ではデュアルチップ戦略が広がりつつありますが、同社は現時点でDimensity 9500の後継となるDimensity 9600のみを準備しているとみられています。しかし、2nmウェハの高騰が続く中、ラインアップを分ける必要に迫られる可能性も指摘されています。
デュアルチップ化が加速する業界の流れ
Qualcommはすでに、最上位のSnapdragon 8 Elite Gen 5と、価格を抑えたSnapdragon 8 Gen 5という二本立て構成に移行しました。来年は8 Elite Gen 6と、性能が強化された8 Elite Gen 6 Proが登場すると噂されており、メモリ規格やストレージ対応、GPU性能などで差別化されると報じられています。
一方でMediaTekは、同様の戦略を採用するかどうか決めかねているとされ、名称含め詳細は未確定のままです。
要因はTSMCの2nmプロセスの高騰
MediaTekの強みは、同等プロセスでも競合より大幅に価格を抑える aggressive なコスト設計にあります。現行のDimensity 9500は、Snapdragon 8 Elite Gen 5より約50%安い価格帯で提供されているといわれています。
しかし来年は状況が異なります。TSMCの2nm初期生産枠の半分以上をAppleがA20シリーズ向けに確保したとされ、MediaTekやQualcommは改良版のN2Pプロセスを使わざるを得ない状況に。これにより製造コストが上昇し、Dimensity 9600の価格も上がる可能性が高まっています。
廉価版投入の可能性も
もしDimensity 9600の価格が大幅に上昇する場合、MediaTekが性能を抑えた別バージョンを追加するという選択肢も浮上します。フラッグシップ級の性能を維持しつつ、価格帯を調整する狙いです。
また、Weibo上では複数ブランドが来年9~10月に複数モデルを投入する計画を立てているという情報も出ており、スマートフォン市場全体がラインアップ細分化へ向かっている流れも影響しそうです。
現時点では情報の多くが噂レベルにとどまっていますが、2nm世代の到来が各社の戦略に大きな変化をもたらしつつあるのは確かです。今後のMediaTekの判断に注目したいところです。


