
Xiaomiが2025年のAI関連投資で、驚くべき成果を上げたことが明らかになりました。AIや電気自動車(EV)分野における技術開発が収益に直結し、同社は新規事業のイノベーション部門で四半期単位で初の黒字化を達成しています。
AIと新規事業が収益を牽引
Xiaomiは、AIへの投資が「予想を大幅に上回る」成果を生み出したと発表しました。特に大規模AIモデルの開発と実世界での応用が業績を押し上げています。スマートEVやAI、新規事業をまとめたイノベーション部門は、2025年第3四半期に初めて黒字化。これらの新規事業は前年比199%増の290億元(約4.1億ドル)の売上を記録しました。
全社の第3四半期売上高は前年同期比22%増の1,131億元、調整後純利益は前年同期比81%増の113億元となり、好調な業績を示しています。
身体化AI(Embodied AI)に注力
従来の汎用AIへの投資を経て、Xiaomiは現在、車両やロボットとAIを結びつける「身体化AI」に注力しています。今年4月には初のAIモデル「MiMo」を発表し、最近ではオープンソース版「MiMo-Embodied」を公開。自動運転やロボティクスにおいて最先端の性能を発揮するとしています。
この戦略はテスラの取り組みにも似ており、EVやヒューマノイドロボットへのAI統合を進める狙いがあります。Xiaomiは、身体化AIが次世代の技術革新の中心になると位置づけています。
EVとロボット分野での応用
中国のEV市場ではAI導入が急速に進んでおり、Xiaomiもこの分野での存在感を拡大しています。2月に発売されたプレミアムセダン「SU7 Ultra」は、同社独自のハイパー自律運転システムを搭載。また、2021年にはロボット犬、2022年にはヒューマノイドロボットのプロトタイプを公開するなど、ロボティクス分野にも積極的に投資しています。
これらの取り組みは、AIと実世界のハードウェアを融合させるXiaomiの長期戦略の一環です。
AI人材の拡充とリーダーシップ
XiaomiはAI人材の採用を加速しており、DeepSeek出身でV2モデル開発に貢献した羅富利(Luo Fuli)氏をMiMoチームのリーダーとして迎えました。羅氏は12月17日に開催される「Xiaomi Developer Conference」でも登壇予定です。
同社の副社長、陸偉兵(Lu Weibing)氏は、AI事業の業績が社内予測を上回ったと述べ、身体化AIが次世代の知能技術を牽引すると改めて強調しました。
課題と今後の展望
一方で、Xiaomi株は過去6カ月で20%以上下落しており、2026年に向けた課題も浮上しています。AIハードウェア需要によるメモリーチップ価格の高騰はサプライチェーンに大きな圧力をかけると見られ、スマートフォン事業への影響も懸念されます。
さらに、中国国内のEV・スマートフォン市場での激しい価格競争や消費者心理の低迷、経済不透明感や不動産市場の混乱も同社の課題です。Xiaomiは、技術革新とコスト管理のバランスを取りながら、変化の激しい市場での成長を目指しています。


