
Googleが配信を開始した「Android 16 QPR2」。新機能が注目されがちですが、Pixel 10シリーズでは“性能アップ”という思わぬメリットを感じるユーザーも出ているようです。
Android AuthorityがPixel 10 Pro XLを実際にテストした結果、わずかながら処理性能やグラフィック性能に改善が見られました。とはいえ、大幅なジャンプアップというよりは、これまでの最適化がようやく安定してきた、そんな印象のアップデートです。
CPU性能は微増、安定性が向上
筆者がPixel 10 Pro XLを使って、11月パッチ適用時とQPR2適用後を比較したところ、CPU性能にはごく小幅な改善が確認されました。

- GeekBench 6(CPU)
・シングルコア:+2%
・マルチコア:+5%
いずれも“誤差範囲ではあるが確かに改善している”というレベルです。ただし、Pixel 10シリーズ全体で見られたバラつきが減り、ピーク性能がより安定して出せるようになった点は評価できます。
体感に近い部分では大きめの伸びも
Pixelの普段使いの軽快さに関わるPCMark Work 3.0では、約19%と大きめの伸びが確認されています。ただし、これは初期のPixel 10 Proでも似た数値が出ていたことから、シリーズとしての性能揺れが改善された結果と見るのが妥当です。
安定したパフォーマンスが出るようになったことで、アプリ起動時の引っかかりが減るなど、日常利用の快適さに影響している可能性があります。
GPU性能は“ほんのり”強化、ゲームの安定性向上に期待
3DMarkの各種GPUテストでは、ピーク性能で5〜7%ほどの改善が見られました。

- Wild Life:+約5%
- Wild Life Extreme:+約7%
平均すると6%ほどの向上で、劇的な変化とまではいきません。ただし持続性能がやや安定したため、重いゲームやエミュレーターでのカクつき減少につながる可能性があります。
また、一部ユーザーの間ではOpenGL系の性能がより大きく伸びているという報告もありますが、現時点では確認されていません。
発熱や安定性への影響なし
性能アップと同時に気になるのが熱ですが、テストした範囲では温度上昇や安定性の悪化は見られませんでした。純粋に最適化が進んだことで引き出される性能が増えたと考えられます。
実は11月パッチの時点で改善は始まっていた?
今回のQPR2で性能が伸びたように見えるものの、実際には“改善の大部分は11月パッチで導入済み”だった可能性があります。QPR2が配信され、人々がこぞってアップデートしたことで「急に速くなった」と感じるユーザーが増えているだけ、という見方もできます。
GPU周りはQPR2でさらに改善した可能性もあり、Tensor G5の性能をより安定して引き出せるようになっている印象です。
それでも“確実に前より速い”——小さな改善が積み重ねに
Pixel 10シリーズは、発売直後はエミュレーション性能の低さなど、いくつかの課題が指摘されていました。そのため今回のような細かな最適化が積み重なることで、体感パフォーマンスの底上げにつながっていると考えられます。
わずか数%の向上でも、アプリの読み込みやゲームの安定度といった“悪いと気になりやすい部分”が改善される効果は大きいものです。
今後さらにドライバ更新や最適化が進めば、Tensor G5が本来持つポテンシャルにより近づく可能性があります。次は、Pixel 10で大きな課題となっている“エミュレーション性能”が改善されるのか、引き続き注目したいところです。


