Xiaomiがスマートフォンの発売機種数を急減させている理由 ― 「アップデートの長期化」

ここ数年、Xiaomiは毎月のように新機種を投入し、市場を“数で押す”戦略で成長してきました。しかし、現在はその姿勢を大きく転換し、年に発売するスマートフォンの数を大幅に減らしています。いま同社がめざしているのは、市場の“量”ではなく、エコシステム全体の“質”です。


スマホは中心だが、主役ではない

世界のスマートフォン市場が持ち直しつつあるにもかかわらず、Xiaomiのスマホ事業は2025年第2四半期に前年比2%減収。それとは対照的に、AIoT事業は44.7%増、さらに電気自動車事業は四半期だけで200億元以上の売り上げを記録し、同社の成長を牽引しています。
もはや同社にとって、スマホ“だけ”が主力ではなくなっているのです。

この状況を踏まえ、CEOの雷軍氏が掲げるビジョンが「Human–Car–Home」戦略です。スマホはエアコンや掃除機のような単体家電ではなく、クルマやAI搭載ホーム機器をつなぐ“中心端末”。価値の基準はスペック競争から、ソフトウェアと連携体験へ移り変わりつつあります。


端末を減らす理由は「アップデートの長期化」

この方向性を支えるため、Xiaomiはソフトウェアサポートを大幅に延長しました。
たとえば、Xiaomi 15やRedmi Note 14シリーズは4回のOSアップグレード+6年間のセキュリティ更新が保証されます。これはAppleやSamsungと同等の水準です。

ただし、この長期サポートを世界中のバリエーション機に適用するのはきわめて困難でした。とくにMIUIからHyperOSへの移行で、地域差やモデル乱立が障害となり、アップデート遅延を生む要因になっていたのです。
だからこそ今、機種数を減らし、グローバルで統一したプラットフォームへと舵を切っています。


インド市場での失敗が決定打に

Xiaomiが方針転換を進めた背景には、インド市場での急落があります。2025年初頭、同社の出荷台数は前年比42%減となり、シェア1位から6位へ転落。
Redmi、Poco、Xiaomiの製品が競合し、しかも地域ごとに仕様やソフトが細かく異なるせいで消費者に混乱を招いた—これが痛恨事とされました。

その反省から、現在は以下のようにサブブランドの役割が整理されています。

ブランド役割
Redmi大衆向け市場
Xiaomi中〜高価格帯
Poco性能重視モデル
Civiデザイン重視

さらに、高コストで市場規模の小さい折りたたみ端末は優先度を下げ、今年はMix Fold 5の発売を見送る判断も下されています。


Xiaomiは、長期アップデート、統一プラットフォーム、耐久性あるハード、そしてエコシステム連携という4つの柱で、スマホを“単体製品”から“総合体験のハブ”へと位置づけ直しています。新機種の数は減っても、その存在意義はこれまで以上に強まっていると言えるでしょう。

ソース

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