
GoogleのPixelシリーズには、魅力的なカメラや独自のAI機能など、多くの長所があります。しかし、初代からユーザーを悩ませ続けてきた弱点がありました――バッテリーです。そして残念ながら、Pixel 10シリーズになっても、その影は完全には消えていないようです。
「高くなったのに改善していない」ユーザーが抱く違和感
Pixelはこれまでにも、通信状態による異常な電力消費や、Aシリーズで報告されたバッテリー不良など、何かとバッテリーに関する問題がついて回ってきました。その一方で、価格は世代を追うごとに上昇しています。
しかし、肝心の電池持ちは必ずしも右肩上がりというわけではありません。実際、昨年のPixel 9シリーズは状況によってはPixel 10より長く動作するケースが確認されており、「大容量化」「省電力化」という数字上の優位が、必ずしも体感につながっていないという指摘もあります。
通信環境によってはPixel 10が不利になる場面も
検証のため、Pixel 10 Pro XLとGalaxy S25 Ultraを比較しながら電力測定をしたところ、Pixelは電波が弱い環境で特に消費電力が増える傾向が見られました。Wi-Fiで過ごす時間が長い人は問題を感じにくい一方、モバイル通信の比率が高いユーザーは、1日持たない可能性もあります。
さらに、ゲームによってはPixel 10世代で突然消費電力が跳ね上がる場面も確認されており、こちらもバッテリー寿命を不安定にする要因となっています。もちろん全てのゲームで発生するわけではありませんが、ユーザーによって評価が割れる理由のひとつといえそうです。
数値上は悪くないのに、実際には“当たり外れ”がある――そんな印象です。
Pixelだけが抱える「世代を超えたバッテリーのジレンマ」
そもそもPixelシリーズのバッテリー性能は、機種によって大きく差があることで知られています。
- 初期の無印モデルは容量不足で、パワーユーザーはXLモデル一択
- Pixel 4はシリーズ全体で「電池が弱い」と評判
- Pixel 5でようやく改善
- Pixel 6は通信障害が引き金となり、持ちの悪さを訴える声が増加
- Pixel 8/9で安定したと思われたが、10世代でふたたび不安定へ
そして何より、以前は「コスパの良さ」が弱点を補っていました。Pixel 6が599ドルで登場したのに対し、Pixel 10のスタート価格は799ドル。トップモデルは1,199ドルと、明らかにフラッグシップ帯の価格です。ここまで高価になってしまうと、「電池で悩むのは仕方ない」とは言いにくくなります。
さらに深刻なのは“長期使用のリスク”
Pixel 10シリーズには「Battery Health Assistant」が搭載されており、安全のため、200回程度の充電サイクルで最大容量を制限することがあります。これは約1年ほどでバッテリーが劣化し始める可能性を示しており、7年間のOSアップデート期間を考えると、途中でバッテリー交換はほぼ必須です。
本体価格が上がった上に、長く使うほど追加費用が発生する――そんな構造に不満を感じるユーザーがいても不思議ではありません。
結局Pixel 10は「買い」なのか?
もちろん Pixel 10 が常に電池持ちが悪いわけではありません。1日余裕で使えるユーザーもいます。しかし、
- 電波状況が不安定な地域で使う
- ゲームやビデオ通話を多用する
- 外出時間が長い
こうした条件が重なると、途端に不満が表面化する可能性があります。
Pixelは素晴らしい機能を多く備え、カメラ性能やAndroidの最新体験を求める人には最有力候補であることは確かです。しかし、競合メーカーが“安くて長持ち”に注力する中で、バッテリーの不安定さが再び注目される状況となっています。
「弱点は克服された」と安心できる日は、もう少し先になりそうです。

