DRAM不足は2028年まで長期化へ SKハイニックスが警告、PCやスマホ価格への影響も懸念

世界有数のメモリメーカーであるSKハイニックスが、DRAMの需給逼迫が2028年まで続く可能性が高いとの見通しを示しました。社内分析によるもので、供給の伸びが需要に追いつかない状況が長期化するとしています。

一般向けDRAMは供給拡大が進まず

公開された内部資料によると、HBMやSOCAMMといったAI向けの高付加価値メモリを除き、PCや一般消費者向けに使われる汎用DRAMの供給増加は、少なくとも2028年まで限定的になる見込みです。

背景には、主要メモリメーカーが生産リソースをAIサーバー向けに大きくシフトしている現状があります。消費者向けDRAMの生産能力を大幅に増やす動きは乏しく、結果として需給ギャップが解消されにくい構造になっています。

在庫は歴史的低水準、価格高止まりの要因に

現在、サプライヤー側の在庫水準は過去最低レベルにまで減少しているとされ、これが割当制限や価格上昇圧力をさらに強めています。SKハイニックスを含む各社は、無理な増産よりも収益性を重視した慎重な設備投資戦略を採っている状況です。

一方で、サーバー向けDRAMの需要は急拡大しており、来年以降はさらに成長が加速すると予測されています。

サーバー向け比率は2030年に5割超へ

分析では、DRAM需要に占めるサーバー向けの割合が、2025年の38%から2030年には53%にまで上昇すると見込まれています。AIブームを背景に、クラウド事業者によるAI学習用データセンターの建設が相次いでおり、これがDRAMの長期的な需要拡大、いわゆるメモリのスーパーサイクルにつながるとみられています。

すでに2026年分の主要DRAM生産枠が売り切れているとの情報もあり、今後数年間、従来型のPC向けDRAMは慢性的な供給不足に陥る可能性が高そうです。

AI PCの拡大とNAND不足も追い打ち

PC市場ではAI PCの存在感が急速に高まっており、2026年には全PC出荷の約55%をAI PCが占めるとの予測もあります。全体の出荷台数が大きく伸びない中でも、高性能メモリを必要とする製品が増えることで、需給の逼迫感は一層強まるとみられます。

また、NANDメモリについても、サーバー向け需要の増加と高収益性を理由に、消費者向けの供給が需要に追いつかない可能性が指摘されています。

今回のSKハイニックスの分析は、当初2027年頃までと見られていたメモリ不足が、さらに長引く可能性を示す内容です。PCやスマートフォンといった消費者向け製品にとって、価格面や供給面で厳しい状況が少なくとも2028年まで続くことになりそうです。

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