Samsung Displayは、バルセロナで開催中のMWC 2025(モバイル・ワールド・コングレス)にて、次世代ディスプレイ技術を披露。その中でも注目を集めたのが、折りたたみ式の携帯ゲーム機「Flex Gaming」です。

折りたたみ式ディスプレイといえば、Samsungは「Galaxy Z Fold」や「Galaxy Z Flip」シリーズなど、スマートフォン市場で革新を続けてきました。しかし、今回のFlex Gamingはゲーム機という新たなカテゴリーに挑戦するコンセプトモデルです。さらに、このデバイスはスマートフォンの形状をしており、過去に登場したXperia Playのような物理コントローラー付きゲーミングスマホの復活を予感させるものとなっています。
折りたたみ式ゲーミングスマホとしての可能性
Flex Gamingの最大の特徴は、7.2インチのディスプレイを備えながら、折りたたむことでコンパクトに収納できる点です。現在の携帯ゲーム機市場には、「ROG Ally X」や「Steam Deck」などの高性能なポータブルPCが存在しますが、それらのデバイスはどうしてもサイズが大きくなりがちです。

Samsungのアイデアは、「プレイ時には大画面で楽しみ、収納時にはコンパクトになるデバイス」を実現すること。これはかつての「Xperia Play」のコンセプトにも通じるものがあります。Xperia Playは、スライド式の物理コントローラーを搭載したゲーミングスマホとして2011年に登場しましたが、その後、こうしたスマホは市場から姿を消しました。しかし、折りたたみディスプレイ技術の進化により、「スマホとゲーム機の融合」というコンセプトが再び現実味を帯びてきたのです。
あくまでコンセプトモデル、市販化は未定
Samsungは、このFlex Gamingをあくまでコンセプトモデルとして発表しており、市販化の予定は未定です。ただし、「この技術を活かせば、折りたたみ式のゲーム機も実現可能である」ということを証明した点に大きな意味があります。
また、SamsungはFlex Gamingの特許も取得しているため、将来的に製品化される可能性もゼロではありません。他のメーカーがこのアイデアに注目し、市場投入を決断するかどうかも今後の焦点となるでしょう。
設計上の課題とSamsungのユニークな工夫
折りたたみ式のゲーム機を実現する上で、ハードウェア設計の課題も浮かび上がります。
たとえば、現在市場にある「Steam Deck」や「ROG Ally X」のような高性能ゲーム機は、多くのパーツを必要とするため、折りたたみ構造にするのは難しいと考えられます。Flex GamingはAndroid OSを搭載していると見られるため、ゲームPCというよりはスマートフォンに近い携帯ゲーム機になる可能性が高いです。
また、物理的なボタン配置の問題もあります。通常の携帯ゲーム機にはアクションボタンやD-pad(十字キー)が必要ですが、Flex Gamingにはそれらが搭載されていません。折りたたみ時に本体をフラットにするためのデザイン上の制約があると考えられます。
しかし、Samsungは「ジョイスティックの収納問題」に対して興味深い解決策を提示しています。Flex Gamingには、本体を折りたたんだ際に反対側のジョイスティックがぴったりと収まる穴**が設けられているのです。このデザインにより、折りたたんだときに無駄なスペースができず、よりスリムな形状を実現しています。
現在版「Xperia Play」ゲーミングスマホの復活なるか?
Flex Gamingはあくまで「こんなデバイスも可能かもしれない」というSamsungの技術展示に過ぎません。しかし、折りたたみディスプレイの進化により、スマートフォン以外の分野にも応用が広がることを示唆する重要なコンセプトモデルです。

過去に登場したXperia Playのような「物理コントローラーを搭載したゲーミングスマホ」のコンセプトが、Samsungの技術によって復活する可能性もあります。現在、モバイルゲーム市場は進化を続けており、クラウドゲーミングや5G通信の発展によって、スマートフォンのゲーム体験も大きく向上しています。こうした流れの中で、「折りたたみ式ゲーミングスマホ」という新たなカテゴリーが誕生するのか**、今後の展開に注目です。