
Samsungが開発中とされる次世代モバイルチップ「Exynos 2800」に、高帯域幅メモリ(HBM)を採用する可能性が浮上しています。実現すれば、スマートフォン向けチップとしては初の試みとなり、オンデバイスAI性能を大きく押し上げる技術革新になると注目されています。
近年はAI処理の多くがクラウド側で行われていますが、速度やプライバシーの観点から、端末単体で完結するオンデバイスAIへの期待が高まっています。その鍵を握るのがメモリ帯域幅です。
オンデバイスAIの弱点「メモリ帯域幅」をどう解決するか
韓国メディアETNewsの報道によると、SamsungはExynos 2800向けに次世代HBMパッケージ技術の導入を検討しているとされています。これが実現すれば、スマートフォンで初めてHBMを本格採用する事例となる可能性があります。
HBMが重要視される理由は、AI処理におけるボトルネックが「データ転送速度」にあるためです。どれだけ高性能なプロセッサでも、必要なデータを素早く供給できなければAIの応答速度は頭打ちになります。
従来のモバイル向けDRAMでは帯域幅に限界があり、オンデバイスAIは機能が制限されるケースも少なくありませんでした。HBMはその課題を解決する候補として期待されています。
HBMをスマホに実装するための新しいパッケージ技術
ただしHBMは単純に置き換えられる技術ではありません。従来のDRAMとは構造が異なり、信号損失や接続端子数の制約など、モバイル向けには多くの課題があります。
報道によるとSamsungはこれらを克服するために、超高アスペクト比の銅ピラーと「Fan-Out Wafer Level Packaging」を組み合わせた新しい実装技術を検討しているとされています。さらに「Vertical Copper Post Stack」と呼ばれる技術により、DRAMチップを階段状に積層し、効率的な接続を実現する構想もあるようです。
こうした技術が確立されれば、帯域幅の大幅な向上が期待され、スマートフォン上で動作するAIモデルの性能も飛躍的に向上する可能性があります。
サムスンにとっては半導体事業全体にも追い風
この取り組みは単なる技術革新にとどまりません。Samsungにとっては戦略的な意味も大きいと見られています。
同社はメモリ半導体の主要メーカーであり、HBM対応が進めば自社製品の需要拡大につながる可能性があります。また現在はAI需要の高まりによりHBM生産へ各社がシフトしており、供給バランスにも影響を与える可能性があります。
もしモバイル向けHBMが実用化されれば、他メーカーにも設計が広がり、結果としてHBM市場全体の拡大にもつながるかもしれません。
実用化はまだ先、Exynos 2800は2028年以降か
ただし、この技術がすぐに登場するわけではありません。現時点のロードマップでは、2027年にExynos 2700が登場するとみられており、その次の世代としてExynos 2800は2028年頃になる可能性があります。
つまり今回のHBM構想が実際に製品へ反映されるとしても、まだ数年単位の時間が必要です。その間に技術がどこまで成熟するかが、実現の鍵を握ることになりそうです。
オンデバイスAIがスマートフォンの標準機能となりつつある中、Exynos 2800がその進化を一段引き上げる存在になるのか、今後の動向が注目されます。

