
Googleが公開した新しい特許出願によると、同社はスマートグラスやXRヘッドセットの装着感を、たった1枚の二次元画像から推定する高度なシステムを開発しています。この方法は一見シンプルですが、量産向けウェアラブルデバイスの普及を阻む「個人に合わせた精密なフィッティング」という課題を解決する可能性があります。専用のハードウェアや深度センサー、店舗での測定が不要である点も大きな特徴です。
スマートグラスからXRヘッドセットまで幅広く対応
特許では眼鏡型デバイスに言及していますが、実際には軽量のスマートグラスから大型のXRヘッドセットまで、幅広いヘッドマウントデバイスに応用可能です。システムはユーザーの顔の形状に着目し、デバイスの種類に依存しません。
ユーザーが撮影した1枚の2D画像から3Dメッシュを生成し、鼻根のセリオン(sellion)など主要な顔のランドマークを特定、仮想フレームを顔に合わせて配置します。これにより、実際にデバイスを装着した際の状態を正確にシミュレーションできます。

スマートグラスでは、鼻の高さやこめかみ幅、レンズの位置が装着感や表示の見やすさを左右します。XRヘッドセットでは、光学的なキャリブレーションや視野への配置が精密な顔形状に依存します。Googleのシステムはどのデバイスでも、ユーザーの顔に自然にフィットさせることを目指しています。
2D画像から3Dメッシュを生成する仕組み
特許に記載されたプロセスは以下の通りです。
- ユーザーがスマートフォンなどで正面からの2D画像を撮影
- 機械学習モデルにより、画像から3Dのユーザーメッシュを生成
- 平均的な頭部形状を表す参照メッシュをユーザーメッシュに合わせる
- 仮想フレームを参照メッシュのセリオン位置に配置
- 実際のセリオン位置に合わせてフレーム位置を微調整し、リアルなバーチャルトライオンを実現
セリオンは眼鏡やヘッドセットの安定した装着に重要なランドマークで、ここを基準にすることで、単純にフレーム画像を重ねるだけのAR試着ツールに比べて精度が向上します。
Googleのウェアラブル戦略における意義
このシステムは、消費者向けスマートグラスの最大の障壁である「正確なサイズ選定」を、店舗や専門スタッフなしで実現できる点がポイントです。自宅でのセルフフィッティングにより、次の利点が期待できます。
- 仮想試着の精度向上
- フレームサイズやヘッドセット構成の自動選定
- 個人に合わせたカスタム部品の製造
特にGoogleはSamsungやQualcommと連携し、AI搭載の次世代スマートグラスやXRデバイスの開発を進めており、この技術はその基盤となります。
Apple Vision Proとの比較
AppleのVision Proは深度センサーや複数カメラ、店頭でのスキャンに依存して正確な装着感を実現します。精度は高いものの、ハードウェアや手間が必要です。
一方でGoogleの方式は以下の利点があります。
- 深度センサー不要で2D画像から3Dメッシュを生成
- 店舗介入なしで大量展開可能
- 計算負荷が低く、消費者端末で処理可能
- 軽量グラス型デバイスにも対応しやすい
精度面ではAppleに劣るものの、手軽さや柔軟性に優れるため、一般消費者向けのウェアラブル普及を後押しする可能性があります。
将来の展望
Googleはこの特許を通じ、スマートグラスをオンラインで手軽に購入し、自宅で正確に装着できる未来を見据えています。自宅でのフィッティング、デバイス構成の自動化、個人向け光学調整、カスタム製造ワークフローの実現など、量産型ウェアラブルデバイスのエコシステム構築を狙う技術です。
発明者はGoogleの機械学習マネージャー、Idris Aleem氏です。今回の特許は、スマートグラスやXRデバイスをより身近で使いやすくする次世代のウェアラブル技術として注目されます。


