
国内SIMフリー向けに投入されたXperia 1 VIIとGalaxy S25 Ultra。どちらも最新世代のSnapdragon 8 Eliteをベースとしたハイエンドモデルですが、Geekbench 6.0のCPUベンチマーク結果を比較すると、両者の間には想像以上に大きな性能差が見られます。
今回は、複数回計測されたベンチマークの平均スコアと標準偏差をもとに、両モデルの実力差と、その背景にある要因について考察します。
Geekbench 6.0平均スコアで見る性能差
まずは、国内SIMフリー版同士でのGeekbench 6.0 CPUベンチマーク平均スコアを比較してみましょう。

それぞれの期近50回分の測定結果の平均値をとると:
| Xperia 1 VII | Galaxy S25 Ultra | |
| シングルコア平均 | 2595 | 3109 |
| マルチコア平均 | 7847 | 10100 |
| シングルコア標準偏差 | 592 | 182 |
| マルチコア標準偏差 | 1366 | 456 |
- シングルコア性能
- Xperia 1 VII:2595
- Galaxy S25 Ultra:3109
→ Galaxy S25 Ultraが約20%高いスコア
- マルチコア性能
- Xperia 1 VII:7847
- Galaxy S25 Ultra:10100
→ Galaxy S25 Ultraが約29%高いスコア
とくにマルチコア性能では、体感にも影響しやすいレベルの差がついており、「同世代・同系統チップ」と考えると無視できない開きです。
標準偏差が示す「性能の安定性」
今回の比較で注目したいのが、標準偏差(スコアのばらつき)です。
標準偏差は、端末の性能がどれだけ安定して発揮されているかを示す指標とも言えます。
- シングルコア標準偏差
- Xperia 1 VII:592
- Galaxy S25 Ultra:182
- マルチコア標準偏差
- Xperia 1 VII:1366
- Galaxy S25 Ultra:456
この数値から分かるのは、Xperia 1 VIIはスコアの振れ幅が非常に大きいという点です。
計測ごとに性能が上下しており、ピーク性能を安定して維持できていない可能性が示唆されます。
一方のGalaxy S25 Ultraは、平均値が高いだけでなく、スコアのばらつきも小さく、安定した高性能を発揮していることが分かります。
「For Galaxy」版Snapdragonだけが原因とは考えにくい

Galaxy S25 Ultraは、Snapdragon 8 Elite for Galaxyを搭載しています。
これは通常版Snapdragon 8 Eliteをベースに、クロックをわずかに引き上げた“Galaxy専用チューニング版”です。
しかし、そのクロック差はごく限定的であり、
シングルで約2割、マルチで約3割もの性能差を生む要因としては明らかに過剰と言えるでしょう。
つまり、単純に「オーバークロック版だから速い」という説明だけでは、この差は説明できません。
性能差が生じた理由を考察
考えられる要因はいくつかあります。
- 放熱設計・冷却機構の差
Galaxy S25 Ultraは大型筐体を活かした冷却構造を採用しており、高負荷時でも性能を維持しやすい可能性があります。 - 電力制御・サーマル制限の違い
Xperia 1 VIIは発熱や消費電力を抑えるため、早い段階でクロック制御が入っている可能性があります。 - OS・ファームウェア最適化の成熟度
GalaxyシリーズはSnapdragonとの協業実績が長く、SoCを引き出す最適化が進んでいる点も無視できません。 - ベンチマークに対する姿勢の違い
ソニーはピーク性能よりも持続性やカメラ・映像処理とのバランスを重視している可能性もあります。
数字が示すのは「設計思想の違い」
今回のベンチマーク比較から見えてくるのは、
Galaxy S25 Ultraは高性能を安定して出し切る設計である一方、
Xperia 1 VIIは性能の振れ幅が大きく、ピークを抑制する方向の制御が強いという違いです。
同じ世代、同じSnapdragon 8 Elite系チップを採用していても、
メーカーごとの設計思想やチューニング次第で、これほどの差が生まれることを示す興味深い結果と言えるでしょう。
ベンチマーク至上主義では語れない部分もありますが、
純粋なCPU性能を重視するユーザーにとっては、無視できない差であることは間違いなさそうです。

