Androidでは長らく、一部のアプリだけを生体認証やパスコードで保護する標準機能が存在しませんでした。このため、Pixelを含む純正Androidユーザーはサードパーティ製アプリに頼らざるを得ず、不便さや安全性への不安を抱えてきました。しかし、次期メジャーアップデートとなるAndroid 17で、ようやくネイティブのアプリロック機能が追加される可能性が浮上しています。
標準ランチャーからアプリを直接ロック可能に?

今回の情報は、最新のAndroid Canary版(2512)を解析した結果判明したものです。システム内部に新たな「App Lock」関連のAPIが追加されており、ホームアプリに付与される専用権限「LOCK_APPS」を使ってロック操作が可能になる仕組みが確認されました。
このAPIにアクセスできるのは、システム内部アプリとデフォルトランチャーのみ。つまり、ユーザーが普段使っているホーム画面アプリが、アプリアイコンの長押しメニューなどから直接ロック/ロック解除を呼び出せるようになる設計です。
ロック対象として妥当かどうかは、システム側がランチャーエントリーの有無や除外リストをチェックしたうえで判定。ユーザーが「このアプリをロックしますか?」というダイアログに応じると、システムが「ロックされました」といったトースト通知で結果を知らせます。
Private Spaceの弱点をカバーする存在に
Android 14で導入された「プライベートスペース」もアプリの分離機能としては優秀ですが、日常的に使うアプリを入れるには不向きです。ホーム画面に置けない、毎回アプリドロワーから解錠が必要、メイン環境とファイルが共有できないなど、利便性を犠牲にして成り立つ機能でした。
一方、新しいアプリロックは通常プロファイル上で動作する仕組みのため、使い勝手を維持しながらアプリだけをピンポイントで保護できます。
サードパーティ製ロックアプリの抱える問題も解消
現在、Google純正のアプリロックが存在しないため、多くのユーザーは外部アプリを利用しています。しかし、これらのアプリは簡単にアンインストールできるという根本的な欠点があり、完全な保護とは言えません。さらに、画面上の動作を監視するためにアクセシビリティ権限を悪用する例も多く、プライバシー面やパフォーマンス面で問題視されてきました。
システムレベルで動作するアプリロックが導入されれば、こうした問題は一気に解消されることになります。
実装はまだ途上、生体認証連動の可能性も
現時点では、Canary版にアプリロックの中核となるロック機構の実装は確認されていません。ただ、既存のBiometric Prompt APIを活用するのが自然であり、指紋認証や顔認証、PIN・パターンへの自動 fallback など、標準的な操作が利用できるようになると考えられます。
通知の扱いについてはまだ情報がなく、ロック中アプリの通知内容を隠すかどうかなどは、今後の実装が注目されるポイントです。
リリースはAndroid 17が最短か
この機能はまだフラグが無効化されており、Android 16のQPR3で有効化される見込みもないため、最も早くても2026年に登場するAndroid 17で正式導入されると見られています。
Androidの弱点の一つだった「アプリ単体の保護」がようやく標準化される可能性が高まりました。今後の開発版でどのように洗練されていくのか、引き続き動向が注目されます。

