
Googleの次世代スマートフォン「Pixel 10シリーズ」では、ディスプレイのPWM(パルス幅変調)方式による画面輝度調整が見直される見込みです。ただし、その恩恵を受けられるのはProモデルのみという点には注意が必要です。
PWMとDCの輝度調整方式の違い
ディスプレイの明るさを抑える方法には大きく分けてDC調光とPWM調光があります。DC調光は電圧を下げる方式で自然な減光が可能ですが、OLEDでは色味の変化や制御回路の複雑化といった課題があります。一方、PWM調光は電圧を一定に保ちつつ高速にON/OFFを繰り返す仕組みで、色変化が少なく低輝度まで幅広く対応できます。しかし、切り替え周波数が低いとチラつきを感じやすく、人によっては目の疲れや頭痛の原因にもなります。
Pixel 10 Pro/Pro XLは480Hzに大幅強化
これまでPixel 9シリーズやPixel 10無印では約240HzのPWM周波数でしたが、Pixel 10 ProおよびPro XLでは一部条件下で480Hzをサポートすると報じられています。一般的に、周波数を高くするとチラつき感が減少し、画面を長時間見ても目が疲れにくくなるメリットがあります。
モデル | PWM最大周波数 |
---|---|
Pixel 9シリーズ | 240Hz |
Pixel 10無印/Fold | 240Hz |
Pixel 10 Pro/Pro XL | 480Hz |
Apple iPhone 16シリーズ | 480Hz |
Samsung Galaxy S25 | 480Hz |
Xiaomi 15 Ultra | 1920Hz |
Honor Magic 6 Pro | 4320Hz |
Proシリーズの480Hz対応はAppleやSamsungと同水準ですが、一部ライバル機種はさらに高い周波数を実現している点も興味深いところです。
全モデルで約200ニトのHDRピーク輝度向上
PWM周波数以外のディスプレイスペックは、Pixel 9シリーズから大きな変更はないものの、HDRピーク輝度が約200ニト向上する見込みです。主な数値は以下のとおりです。
モデル | HDRピーク輝度(公称) |
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Pixel 9 | 1,800ニト |
Pixel 10 | 2,000ニト |
Pixel 9 Pro/Pro XL | 2,050ニト |
Pixel 10 Pro/Pro XL | 2,250ニト |
Pixel 9 Pro Fold | 内側1,600/外側1,800ニト |
Pixel 10 Pro Fold | 内側1,850/外側2,050ニト |
すでに優れた視認性を誇っていたPixelシリーズですが、この輝度アップでさらに明るい屋外視認性が期待できます。
Pixel 10シリーズは、ベースモデルとProモデルでディスプレイ体験に明確な差を設けることで、ユーザーに“選ぶ楽しさ”を提供しようとしています。Proモデルのみの480Hz対応はやや残念ですが、まずは8月の正式発表を待ち、手にとって確認したいところです。