
グラファイト不使用の革新バッテリー
Appleが、iPhoneをはじめとする次世代デバイス向けに「純シリコン電池」の開発を進めていると報じられました。この新型バッテリーは、従来のリチウムイオン電池に不可欠だったグラファイトを使用せず、シリコン素材を中核とすることで、より多くのエネルギーを蓄えることが可能になるとみられています。
韓国メディアETNewsの報道によれば、Appleはすでに複数のバッテリーメーカーと連携し、純シリコン電池の実用化に向けて共同開発を進めているとのことです。これにより、AI処理を多用するデバイスでも長時間の駆動が可能となり、電池切れの心配を大幅に軽減できる可能性があります。
薄型化と高性能化を両立
シリコン素材はグラファイトに比べてエネルギー密度が高く、同じサイズでもより多くの電力を蓄えることができます。これにより、バッテリー容量を維持したままiPhone本体のさらなる薄型化を実現する余地が生まれます。
また、AI処理をデバイス単体で行う「オンデバイスAI」が普及する中で、その実用性を支えるバッテリー性能の向上は不可欠です。業界関係者の証言によると、Appleはこの分野で「量子的な飛躍(quantum leap)」を目指しており、純シリコンバッテリーの商用化がその鍵になるとみられています。
「オンデバイスAIによってモバイル体験を広げるためには、バッテリー性能の飛躍的な進化が必要です。Appleはこの課題に対し、シリコンを用いたアプローチで解決を目指しているようです。純シリコン電池の実用化が現実味を帯びてきたことは、シリコン材料の膨張問題を乗り越える技術的ブレイクスルーを得た証といえるでしょう」(業界関係者)
実用化はまだ先か、それとも…?
現時点で、Appleがこの純シリコン電池をいつ実際の製品に搭載するのかについては明らかになっていません。ただし、Appleは新技術の採用においては「確実に仕上げてから導入する」慎重な姿勢で知られており、少なくとも数年内の登場が予想されています。
一方で、同社はすでに2027年のiPhoneモデルに向けて、AI性能を大幅に向上させるためのHBM(高帯域幅メモリ)やTSV(シリコン貫通ビア)といった先端技術の採用にも着手していると報じられており、今後のiPhoneはハードウェアの根幹から刷新されていく可能性があります。
AI時代の主役は「電池」かもしれない
スマートフォンが単なる通信ツールから、AIアシスタントやリアルタイム翻訳、生成AIまで多様な役割を担う時代、鍵となるのはCPUやGPUだけではありません。バッテリーという「縁の下の力持ち」が、デバイスの価値そのものを左右する重要な存在になりつつあります。Appleの動きは、その未来を見据えた第一歩だといえるでしょう。