Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6を実測、5GHz化でCPUは10%向上もGPUが大幅強化

Qualcommの次世代フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite Gen 6」と「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」は、いずれもTSMCの2nmプロセスと最新世代のOryon CPU、Adreno GPUを採用しています。なかでもExtremeモデルは最大5.0GHzという高いCPUクロックが大きな特徴ですが、実際の性能はどこまで向上しているのでしょうか。

Android AuthorityがQualcommのリファレンス端末を使ってベンチマークを実施したところ、CPU性能はシングルコアで約10%向上した一方、マルチコアではわずかな伸びにとどまりました。むしろ大きな進化が見られたのはGPU性能です。

5GHz化でシングルコア性能は約10%向上

Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6は、プライムコアの最大クロックが5.0GHzに達します。前世代のSnapdragon 8 Elite Gen 5では最大4.6GHzだったため、クロック周波数だけを見ても大きな引き上げです。

実際にGeekbench 6を実行した結果、シングルコア性能は前世代のリファレンス端末から約10%向上しました。5GHz化によるクロック上昇が、そのまま性能向上として表れた形です。

一方で、これだけのクロック向上があるにもかかわらず、CPUアーキテクチャそのものに大幅な改良が加えられたことを示す結果にはなっていません。QualcommはFlex Cacheも再設計しており、AIモデルをCPU上で実行するような処理では恩恵が得られる可能性がありますが、今回のGeekbench 6では大幅な変化は確認できませんでした。

また、効率コアも最大4.0GHzまで引き上げられています。前世代の3.62GHzから大きく向上していますが、8コア全体を使うGeekbench 6のマルチコア性能は約1.5%の向上にとどまりました。

この差はベンチマークの誤差範囲に収まる程度で、少なくとも今回のテストでは、高クロック化がマルチコア性能の大幅な向上にはつながっていません。

GPU性能は19%、レイトレーシングは26%向上

一方、Adreno GPUでは明確な性能向上が確認されています。

3DMark Wild Life Extremeでは、通常のラスタライズ性能がSnapdragon 8 Elite Gen 5のリファレンス端末と比較して19%向上しました。前世代でも高いフレームレートを実現できていたことを考えると、最新世代では120fpsを狙うような高負荷ゲームでも、さらに余裕が生まれる可能性があります。

さらにレイトレーシング性能を測定する3DMark Solar Bayでは、世代間で26%の向上を記録しました。

ただし、Solar Bayでレイトレーシングが使われているのはシーン全体の約30%とされるため、実際のゲームや別のワークロードでは異なる結果になる可能性があります。

それでも、CPUよりGPUのほうが世代交代による恩恵が大きいという傾向は明確です。

ExtremeモデルはAIによるさらなる性能向上も

今回のGPUベンチマークで興味深いのは、Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6が対応する「Adreno Neural Fusion」がテストに利用されていない点です。

Adreno Neural FusionはGPU内部のMatrixコアを利用し、AIアップスケーリングやフレーム生成などを実現する技術です。対応ゲームであれば、画質を維持しながらフレームレートを引き上げたり、同じ性能をより少ない消費電力で実現したりできる可能性があります。

ただし、この機能はExtremeモデルのみが対応しており、ゲーム側の対応も必要です。そのため、実際の効果は今後登場する対応タイトル次第といえます。

5GHzだけを理由に買い替える必要はなさそう

今回の結果を見る限り、Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6の5GHzという数字は確かにインパクトがありますが、CPU性能が劇的に変わるわけではありません。

シングルコア性能は約10%向上しているものの、5GHzはあくまでピーク時のクロックです。長時間にわたって5GHzを維持できるとは限らず、冷却性能や消費電力、端末メーカーの性能チューニングによって実際の結果は変わります。

動画処理やエミュレーターなど、CPU性能が効きやすい処理では一定の恩恵が期待できますが、日常的なアプリ操作で大きな違いを感じられるほどの世代差になるかは未知数です。

一方、GPUはラスタライズで19%、レイトレーシングで26%向上しており、こちらのほうが次世代ゲームでは違いにつながりやすいでしょう。さらにExtremeモデルではAdreno Neural Fusionによるアップスケーリングやフレーム生成も利用できるため、対応ゲームではベンチマーク以上の性能向上が期待できます。

もっとも、今回の結果はあくまでQualcommのリファレンス端末によるものです。実際に発売されるスマートフォンでは、冷却機構や消費電力の設定、ソフトウェアによって性能が変わる可能性があります。

そのため、Snapdragon 8 Elite Gen 6やExtreme Gen 6の評価は、実際の製品が登場してからゲーム性能や発熱、バッテリー持ちを含めて判断する必要がありそうです。

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