
PlayStation 5のエミュレーション開発が急速に進んでいます。PS5エミュレーター「KyTyPS5」の派生版である「KyTyPlus」が、Unreal Engine 5を採用した「Silent Hill 2 Remake」を内蔵GPU(iGPU)上で描画することに成功しました。
まだ実用的なフレームレートでゲームをプレイできる段階ではありませんが、比較的低性能なGPUでもPS5向けゲームの描画処理を実現した点は、PS5エミュレーションの進展を示す動きといえます。
Radeon 840のiGPUでSilent Hill 2 Remakeを描画
今回確認されたのは、KyTyPS5から派生したオープンソースのエミュレーター「KyTyPlus」です。
KyTyPlusでは、AMD Radeon 840の内蔵GPUを使用して「Silent Hill 2 Remake」を描画することに成功しています。このGPUは512MBのVRAMに加えて、システムメモリを共有する構成で動作しています。

Silent Hill 2 RemakeはUnreal Engine 5を採用しており、PS5向けゲームの中でも比較的高度なグラフィックス処理を必要とするタイトルです。
今回の動作では、ゲームのコンテンツ警告画面が約4fpsで描画されるなど、現時点で快適にプレイできる状態ではありません。
それでも画面上に大きなグラフィック破綻がなく、クラッシュせずに描画できていることがポイントです。さらにAMD FSRによるアップスケーリングも利用できるとされています。
KyTyPS5より先にSilent Hill 2 Remakeを描画
今回の成果が注目されるもう一つの理由は、派生元であるKyTyPS5では、より高性能なハードウェアを使用してもSilent Hill 2 Remakeを正常に起動できていないことです。
KyTyPS5ではゲーム開始時にクラッシュしてしまう一方、KyTyPlusでは少なくともゲームの映像を描画できるところまで進んでいます。
PS5エミュレーションはまだ非常に初期の段階ですが、ここ数週間で急速な進展を見せています。
KyTyPS5では「Demon’s Souls Remake」が30fpsで動作する段階まで到達したほか、「Grand Theft Auto V」などのタイトルでも動作が確認されています。
こうした成果が相次いでいることで、PS5エミュレーションはこれまで以上に現実味を帯びつつあります。
高性能PCだけが対象ではない可能性
今回特に興味深いのが、Silent Hill 2 Remakeの描画に高性能なディスクリートGPUではなく、Radeon 840というiGPUが使われている点です。
もちろん、今回の4fpsという結果から、低価格PCでもPS5ゲームを快適にプレイできると判断することはできません。PS5エミュレーションにはGPUだけでなく、CPUやメモリなど複数の要素が影響します。
それでも、PS5向けゲームをiGPUで描画できたこと自体は、エミュレーター側のグラフィックス処理が大きく進展していることを示す材料になります。
KyTyPlusはシステムのファームウェアを必要としない高レベルエミュレーション(HLE)方式で動作するとされており、この点も特徴です。
今後、エミュレーター側の最適化が進めば、現在は非常に低いフレームレートにとどまっているタイトルでも、より高い性能で動作する可能性があります。
ただし、エミュレーションの動作状況はゲームごとに大きく異なり、今回の結果だけでPS5タイトル全般が同様に動作すると考えることはできません。
PS5エミュレーションはまだ発展途上ですが、KyTyPS5とKyTyPlusの開発が短期間でここまで進んでいることは注目されます。今後さらに対応タイトルが増え、動作速度も改善されれば、PC上でPS5世代のゲームを動かせる環境が少しずつ現実に近づいていきそうです。

