DRAM価格が前年比401%上昇、1kgが純金620gに匹敵する異例の高騰

世界的なメモリ不足を背景にDRAM価格の高騰が続いています。韓国の貿易統計によると、2026年8月のDRAMの輸出単価は1kgあたり約9万2,000ドルに達し、前年比で401%も上昇したと報じられています。その価値は、韓国国内における純度24金の金約620gに相当するほどで、AI需要が半導体市場にもたらしている影響の大きさが改めて浮き彫りになっています。

DRAMはPCやスマートフォン、サーバーなど幅広い電子機器に使われる基本的な部品ですが、現在はAI向けデータセンターの建設競争によって需要が急増しています。供給が追いつかない状況が続くなか、メモリメーカーや製品メーカーにも大きな変化が起き始めています。

わずか数年で12倍以上に上昇

韓国貿易統計振興院のデータを引用した現地報道によると、8月1日から20日までのDRAM輸出単価は1kgあたり9万2,183ドル、韓国ウォンでは約1億2,700万ウォンでした。

前年同期比では401%の上昇となり、AI需要が本格化する以前の2023年1月と比較すると、実に約12.5倍の水準に達しているとされています。

DRAMを重量単位で取引するという数字にはあまり馴染みがありませんが、今回の価格を金と比較すると異常な状況が分かりやすくなります。同じ時期の韓国では、24金約620gの価格が約1億2,660万ウォンとされており、DRAM 1kgの価値とほぼ同水準になっているとのことです。

もちろん、一般消費者がメモリを1kg単位で購入するわけではありません。しかし、かつて比較的安価なPC部品と考えられていたDRAMが、これほど急激に価値を高めていることは、現在のメモリ市場の逼迫ぶりを象徴する数字と言えそうです。

AIデータセンター建設がメモリ不足を加速

今回の価格高騰の大きな要因となっているのが、世界中で進められているAIインフラへの大規模な投資です。

生成AIの普及によって、高性能なGPUだけでなく、それらと組み合わせて使用される大量のメモリも必要になっています。データセンター各社が設備投資を加速するなか、メモリメーカーは高付加価値なAI向け製品の生産を優先する傾向を強めており、一般的なDRAMの供給にも影響が及んでいると考えられます。

現在の世界のメモリ市場は、Samsung、SK hynix、Micronの大手3社が中心となっています。旺盛な需要と価格上昇は各社の業績にも追い風となっており、報道によるとSamsungやSK hynixでは従業員への大幅なボーナスにもつながっているようです。

PCメーカーにも影響、DDR4を併用する動きも

メモリ価格の上昇は、すでにPCメーカーの製品構成にも影響を与え始めています。

例えばMSIは、一部の最新ゲーミングノートPCで新しいDDR5だけでなく、比較的価格を抑えやすいDDR4メモリを採用する動きも見せていると報じられています。最新世代の製品であっても、コストを抑えるために従来規格を活用する必要が出てきているようです。

また、AI向けGPUで大きなシェアを持つNVIDIAも、メモリ価格高騰の影響を避けられない可能性があります。NVIDIAの次世代Rubin GPUを搭載するサーバーについては、メモリコストの上昇によって価格が15~17%程度引き上げられる可能性があるとの報道も出ています。

AI向けの高性能サーバーだけでなく、将来的にはPCやスマートフォンなど、一般消費者が購入する製品の価格にも影響が広がる可能性があります。

メモリ不足はスマホやPCの価格上昇につながる可能性も

メモリは、スマートフォンやPCの基本性能を左右する重要な部品です。そのためDRAM価格が高止まりすれば、メーカーが製品価格を引き上げたり、同じ価格帯でRAM容量を抑えたりする可能性もあります。

すでに一部のメーカーでは部品コストの上昇を理由に価格改定を行う動きもあり、今回のメモリ価格高騰が長期化すれば、2027年以降に登場する新型スマートフォンやPCの価格設定にも影響するかもしれません。

AIブームは、これまで一部のデータセンターや企業向け市場の話と考えられがちでした。しかし、AIインフラへの投資が世界的なメモリ不足を引き起こし、その結果としてPCやスマートフォンの価格まで押し上げることになれば、一般ユーザーにとっても無関係ではありません。

DRAM 1kgが純金620gに匹敵するという今回の数字は、現在のメモリ市場がいかに異例の状況にあるのかを象徴しています。メモリメーカーの増産や需要の変化によって価格がいつ落ち着くのか、そしてその影響が今後のスマートフォンやPCにどこまで広がるのか、引き続き注目する必要がありそうです。

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