
Googleの次期Pixelスマートフォンに、取り外し可能なバッテリーが採用される可能性が浮上しています。ただし、かつてのように裏蓋を外して簡単に交換できる構造が復活するわけではなく、あくまで現代的な設計思想に基づいた新しいアプローチになる見込みです。
EU規制が設計変更の背景に
今回の話題の発端となっているのは、Googleが申請した特許「US20260006115A1」です。この中で示されているのは、バッテリーを機械的に固定する新しい構造で、欧州連合(EU)の修理容易性に関する規制が大きな背景になっているとみられています。
EUは電池交換を困難にする設計を問題視しており、メーカーに対して2027年2月までにユーザー自身がバッテリーを取り外せるようにすることを求めています。ただしここでいう「取り外し可能」は工具不要を意味するものではなく、「市販の工具で交換できること」が基準とされています。
そのため、かつての(あるいは京セラのTORQUEシリーズ)ようにカバーを外すだけで交換できる構造に戻る可能性は低く、現在主流の強力な接着剤を多用した構造からの脱却が主な焦点になっています。
「グルー地獄」からの脱却を目指す設計
現行のスマートフォンは、耐水性や薄型化のために強力な接着剤で密閉されているケースがほとんどです。修理の際には加熱や溶剤を使って慎重に分解する必要があり、バッテリー交換も簡単ではありません。
Googleの特許では、バッテリーを金属フレームに収めたモジュールとして構成し、それを端末内部にスライドして固定する仕組みが示されています。取り付け後はスプリング式の接点によって電気的に接続され、接着剤に頼らずに安定した固定と通電を実現する設計になっています。
この構造により、落下や曲げに対する強度を確保しつつ、分解時の負担を大幅に減らすことが狙いとされています。
あくまで特許段階の技術

もっとも、この技術はあくまで特許出願段階のものであり、実際のPixel製品に搭載されるかどうかは未定です。現時点では、将来の設計方針を示す一例に過ぎません。
それでも、EU規制や修理性向上の流れを考えると、こうした構造が今後のスマートフォン設計に影響を与える可能性は十分にあります。
バッテリー劣化と修理コストの現実
リチウムイオンバッテリーは消耗品であり、充電や経年劣化によって性能が徐々に低下していきます。一般的には800〜1,000回程度の充放電で容量が約80%程度まで落ちるとされており、多くのユーザーはおおよそ3年ほどで劣化を実感することになります。
一方で、その頃には端末自体の性能はまだ十分に使えるケースも多く、バッテリーだけが先に寿命を迎える形になりがちです。
現状では、バッテリー部品自体は約60ドル程度で入手できる場合もありますが、修理店で交換を依頼すると工賃を含めて数倍の費用になることも珍しくありません。
修理しやすい設計が長期利用を後押し
接着剤依存の設計が減れば、修理工程は簡素化され、結果としてコスト低下にもつながる可能性があります。これはGoogleが掲げる長期アップデート提供(最大7年)という方針とも相性が良く、ハードウェア面での“寿命延長”を支える動きとも言えます。
スマートフォンの性能が長く使える時代において、今後はソフトウェアだけでなく、こうした修理性の改善が製品価値を左右する重要な要素になっていきそうです。

