
Samsungが自社製SoC「Exynos」の位置づけを大きく見直そうとしています。2nm GAAプロセスを採用した最新チップ「Exynos 2600」の発表をきっかけに、同社がSnapdragonへの依存を減らし、Exynosをより中核的な存在へ押し上げる意図があるとの見方が強まっています。
Exynos強化は長期戦略、少数派に留める考えは薄い
Exynos 2600はSamsungの2nm GAAプロセスで製造され、最先端プロセスへの復帰を強く印象づける存在となりました。さらに、次世代のExynos 2800では自社開発GPUの搭載も噂されており、こうした動きについてアナリストは「Exynosを限定的な役割に留めるつもりであれば、これほどの投資は行わない」と指摘しています。
CPUやGPUを自社設計するには長年の開発期間と莫大なコストが必要となりますが、Samsungはそれを承知の上でExynosの競争力向上に賭けていると見られます。
Qualcomm契約終了後はExynos比率が上昇する可能性
SamsungがExynosの採用拡大を進めるうえで最大の課題は歩留まりの改善です。Exynos 2600が量産段階に入った当初、歩留まりは約50%とされていましたが、今後の最適化で改善する余地はあります。
ただし、現時点ではQualcommとの契約により、Galaxy S26シリーズの約75%がSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載し、残りがExynos 2600になると見込まれています。この契約が終了すれば、Exynosを搭載するモデルが一気に増える可能性があります。
Snapdragonの高騰もSamsungにとって重荷に
SamsungがQualcomm依存からの脱却を目指す背景には、Snapdragonの価格高騰もあります。Snapdragon 8 Elite Gen 5は1チップあたり約280ドルとされ、次世代では300ドルを超える可能性も指摘されています。
こうしたコスト増を考慮すると、長期的に自社設計チップへ移行する判断は合理的であり、アナリストのSamir Khazaka氏も「自社CPU・GPUの開発がExynosの存在感を大きく高める」と分析しています。
Exynos 2800で本格的な巻き返しなるか
SamsungはAppleやQualcommに対抗するため、社内に専用チームを設けて自社CPUの開発を進めているとも報じられています。その成果が最初に形になるのがExynos 2800になる可能性が高く、Galaxy S27シリーズではExynos搭載比率がさらに高まるとの見方もあります。
GPUについても進展は顕著で、Exynos 2600に搭載された「Xclipse 960」は、AMDと共同開発したRDNA 4ベースの独自アーキテクチャ「MGFX4」を採用しており、Samsungの技術力向上を象徴する存在となっています。
半導体製造でも主導権維持を狙うSamsung
ファウンドリ事業の面でも、Samsungは攻勢を強めています。第2世代の2nm GAAプロセスの基本設計はすでに完了しており、約2年後には第3世代となる「SF2P+」の導入を計画しているとされています。
設計から製造までを自社で完結できる強みを活かし、SamsungがExynosを軸とした体制へ本格的に移行できるかどうか、今後数年の動向が注目されます。

