
今月12月23日に日本国内での発売が予定されている注目のハイエンドモデル、「Oppo Find X9」。MediaTekの最新チップ「Dimensity 9500」を搭載し、そのパフォーマンスに大きな期待が寄せられています。
しかし、最近明らかになったGeekbench 6.0におけるベンチマークスコア(期近50回分の測定データ)を見ると、ライバルとなるチップセットに対して非常に厳しい現実が浮かび上がってきました。
圧倒的なスコア差:Dimensity 9500はSnapdragonに及ばず
今回は、比較対象として「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を搭載する「OnePlus 15」のデータを用いて、その実力を検証します。なお、OnePlus 15自体は日本国内でのリリース予定はありませんが、あくまで最新のSnapdragonチップの性能基準(リファレンス)としてご覧ください。

まず目を引くのが、単純な処理能力を示す平均スコアの差です。
| 項目 | Oppo Find X9 (Dimensity 9500) | OnePlus 15 (Snapdragon 8 Elite Gen 5) |
| シングルコア平均 | 2,746 | 3,585 |
| マルチコア平均 | 7,585 | 10,480 |
結果は一目瞭然です。シングルコアでおよそ30%、マルチコアに至っては約38%もの差をつけられ、Oppo Find X9(Dimensity 9500)は、Snapdragon 8 Elite Gen 5搭載機に大きく劣る結果となりました。最新世代のフラッグシップ機として期待されるFind X9ですが、純粋な演算能力において、競合チップに完敗していると言わざるを得ません。
さらに深刻な問題:スコアの「標準偏差」が示す極度の不安定さ
平均スコアの低さ以上に懸念すべきなのが、今回のデータに含まれている「標準偏差」の数値です。これは、50回計測したスコアの「ばらつき」を示しており、数値が大きいほど性能が不安定であることを意味します。
| 項目 | Oppo Find X9 (Dimensity 9500) | OnePlus 15 (Snapdragon 8 Elite Gen 5) |
| シングルコア標準偏差 | 404 | 82 |
| マルチコア標準偏差 | 2,043 | 710 |
ここでの差は決定的です。
OnePlus 15がシングルコアで「82」、マルチコアで「710」と比較的安定した数値を維持しているのに対し、Oppo Find X9はシングルで「404」、マルチコアではなんと「2043」という極めて大きな数値を記録しています。
これは何を意味するのでしょうか?
Oppo Find X9は、ベンチマークを回すたびにスコアが乱高下しているということです。特にマルチコア性能においてこれほどのばらつきがあるということは、高負荷時にパフォーマンスを維持できていない可能性が極めて高いと言えます。
原因は発熱による「サーマルスロットリング」か
なぜこれほどまでに性能が不安定なのでしょうか。最も有力な原因として考えられるのが、**発熱によるサーマルスロットリング(熱暴走を防ぐための意図的な性能抑制)**です。
Dimensity 9500は、高い処理能力を発揮しようとする瞬間に急激な発熱を引き起こし、端末の保護機能が働いてクロック周波数を強制的に下げている可能性があります。その結果、一時的にスコアがガクンと落ち込み、それが平均値を押し下げるとともに、標準偏差(ばらつき)を大きくしているのでしょう。
対してSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載するOnePlus 15は、高いスコアを出しながらも標準偏差が低く抑えられており、熱制御と電力効率が非常に優秀であることがうかがえます。
まとめ:12月23日の発売を前に不安残る結果に
12月23日の国内発売を心待ちにしているファンにとって、このデータは少々ショッキングな内容かもしれません。
日常使いでこの差を常に体感するわけではないかもしれませんが、重い3Dゲームや動画編集など、持続的なパワーを必要とするシーンにおいて、Oppo Find X9の「熱による性能低下」は大きなボトルネックになる恐れがあります。
「Dimensity 9500」という心臓部が抱えるこの不安定さが、実機でどこまでチューニングされているのか。購入を検討されている方は、発売後の詳細な実機レビュー、特に長時間の負荷テストの結果を待ってから判断しても遅くはないかもしれません。

